英フィンテック、全銀システムに参加 国際送金の手数料低下
Anton Bridge [東京 17日 ロイター] - 全国銀行資金決済ネットワークは17日、運営する銀行間の送金網「全国銀行データ通信システム(全銀システム)」に英フィンテック企業の日本法人が参加することを承認した。預金を扱う金融機関以外の事業者が同システムに接続するのは初めて。割安な国際送金サービスを手掛けるワイズの参加は、海外送金の手数料低下を促す可能性がある。 参加するのは、英ワイズのグループ会社ワイズ・ペイメンツ・ジャパン。ワイズによると、これまで同社が日本から海外へ、海外から日本へ資金を送るには銀行が介在していたが、同システムに参加することで直接取引することが可能になる。送金完了までの時間が短縮できるほか、手数料の引き下げにつながる。 ワイズは英国、欧州、ハンガリー、シンガポール、オーストラリアで銀行を介さず客と取引をしている。同社の国際送金の手数料は世界で平均0.59%だという。 日本の国際送金の決済手数料は低下傾向にあるものの、依然として高水準。2024年第1・四半期の世界銀行のデータによると、日本から200ドルを送金する際の平均手数料は6.94%と、主要7カ国(G7)中で最も高い。 ロンドン証券取引所に上場するワイズは、国際送金の取扱高が四半期ベースで2割増加した。23年度は総額約1200億ポンドを送金し、世界の個人送金の5%、中小企業送金の1%を占めたという。 全銀システムを巡っては、40年以上にわたって送金手数料が変わっていないとして公正取引委員会が閉鎖性を問題視。全銀協は2022年、新たな技術を持つフィンテック企業などにも参加資格を拡大することを決定した。 (Anton Bridge 記事執筆:浦中美穂 編集:久保信博)