【高校野球ベストシーン’23・栃木編】2度サヨナラアーチに泣いた悔しさを胸に、成長見せた作新学院ナイン
2023年もあとわずか。ことしも高校球界ではさまざまな印象的な出来事があった。各都道府県ごとにベストシーンを思い出してみよう。 【動画】名門・作新学院の冬の練習に密着 【選手権県大会決勝・文星芸大附vs.作新学院】 まさにドラマだった。栃木県夏の選手権決勝、文星芸大附と作新学院の決勝は互いに譲らない激戦となり、9回裏のサヨナラ本塁打で、文星芸大附が優勝。16年ぶり11回目の甲子園出場を決めた。 8回を終え、文星芸大附が5対1とリードしていた。作新学院が9回に猛攻撃を仕掛け、一気に4点を奪って土壇場に追いつく粘りを見せた。しかし、その裏、黒崎 翔太捕手(3年)が左翼越えへサヨナラアーチを放って、激戦にピリオドを打った。 悲劇の準優勝となった作新学院の粘りは見事だった。実は、前年の22年夏の栃木大会準決勝(対國學院栃木)でも、同様に9回に猛攻撃を見せている。0対3で迎えた9回に集中打を見せて一気に5得点。試合をひっくり返した。しかし、その裏に同点とされ、延長10回タイブレークの末、サヨナラアーチを打たれて敗戦。作新学院にとっては、歓喜に沸いた直後に悲劇にあう経験を、2年連続で味わったことになる。それも、2度とも、最後はサヨナラアーチだった。 伝統校の粘りは見ている人の胸を打つ。勝利には届かなかったが、名門の強さは健在だった。 作新学院の今年の秋からのチームは、栃木大会で優勝すると、関東大会でも快進撃を続け、圧倒的な力を見せつけて7年ぶりの優勝を果たしている。さらに、明治神宮大会でも北海(北海道)、関東一(東京)を破って決勝へ。星稜(北信越)には敗れて準優勝には終わったが、夏の悔しさを知る小川 哲平投手(2年)、岩出 純捕手(2年)のバッテリーを中心に、大きく成長を果たした。 来年春のセンバツでは、全国頂点を目指し、伝統校の粘りと強さを見せてくれるはずだ。