『らんま1/2』の最終回を覚えてる? 意外と知らない乱馬の「その後」
アニメ版の最終回は母親のエピソード
一方で1989年から1992年にかけて放送されたTVアニメ版『らんま1/2』の最終回は、原作とは異なります。当時は「週刊少年サンデー」での連載が続いていたこともあって、結末が不明だったせいでしょう。アニメ版の最終回は単行本22巻に収録されている乱馬と母「のどか」のエピソードでした。 ことの発端は父、玄馬にあります。玄馬は「乱馬が男の中の男に育たなければ、父子そろって切腹する」と誓って念書をしたため、幼い乱馬を連れて修行の旅に出かけました。「のどか」も武道家の妻として「乱馬が男らしく育っていなかった場合、自分が父子の介錯を務め、返す刀で喉をかき切って後を追う覚悟」を心に決めます。 しかし呪泉郷に落ちたことで「玄馬」は水をかぶるとパンダに、男らしくあるはずの「乱馬」は水をかぶると女の子になる特異体質になってしまいます。これでは「のどか」にあわす顔がありません。 ●正体を明かさないまま終了 念書の約束を恐れてごまかし続ける乱馬ですが、成長した息子に会いたがるのどかの気持ちや、母親と死別して二度と会うことができないあかねやなびきの気持ちを知ったことで考えを改めます。 乱馬は男の姿でのどかに会おうとしますが、途中で「玄馬」に妨害されたり通り雨に降られたりと機会に恵まれず、結局はのどかに正体を明かすことができないままでした。TVアニメ版『らんま1/2』最終回「いつの日か、きっと…」では「真の男になってから会う」と誓った乱馬があかねと一緒に学校に向かって駆け出していくシーンで終了します。 TVアニメ版のクライマックスは、あかねとの関係の結論よりも、乱馬と母の関係性や完全な男に戻るという点にフォーカスされているのが特徴です。 ちなみに原作でも乱馬は完全な男に戻れないまま完結しましたが、変身体質を含めてのどかに正体を明かします。正体が露見したときは、あわや切腹かと思われましたが、「乱子(乱馬の女体化時)」だったときの言動が「男らしかった」ということで和解に至りました。 原作マンガとTVアニメ版の最終回が異なるのは、作品テーマの解釈に違いがあったからとはいえません。原作が連載中だったことに加えて、いくらでも続きが作れる日常系ドタバタラブコメという形式が関係していると思われます。 また2024年6月26日に『らんま1/2』のアニメ制作決定が発表されました。詳細は2024年7月17日に発表されるようです。今回のアニメ化では、原作最終回の展開が描かれるかもしれません。続報に期待です。
レトロ@長谷部 耕平