桂ざこばさん急死 怒って泣いて笑わせた…上方落語界の重鎮が突然の旅立ち 4月30日、愛弟子3人の襲名会見が最後の公の場
上方落語家でタレント、桂ざこば(かつら・ざこば、本名関口弘=せきぐち・ひろむ)さんが12日午前3時14分、ぜんそくのため、大阪府の自宅で死去した。76歳だった。2017年に脳梗塞を発症、21年には持病のぜんそくに慢性閉塞性肺疾患(COPD)を併発して入院するなど晩年は闘病が続きながらも、持ち前の明るさで上方落語界を盛り上げた。通夜、葬儀は家族葬で行う。後日、お別れの会を開く予定。 【写真】「じゃチューしろ」桂ざこばさん、大トラ事件…笑福亭鶴瓶、桂三枝とブチュ~ 人情味あふれる語り口で親しまれた上方落語界の重鎮が、突然旅立った。 この日、所属する米朝事務所の滝川裕久社長が書面で発表。「あまりにも突然の事で、ご家族も今は悲しみにくれるばかりです」「我々スタッフにもお気遣いくださる、とても素敵な師匠でした」と、率直な思いがつづられていた。 ざこばさんは、今年4月30日に大阪市内で行われた愛弟子3人の襲名会見に出席。その際、「もうぜんそくで全然あきまへんねん。ぜんそく…アカンわ、ほんまに」とボヤいていたが、これが公の場での最後の姿となってしまった。 大阪市出身。中学を卒業した1963年、後に人間国宝となった三代目桂米朝さん(2015年死去)に入門し、桂朝丸を名乗った。 朝丸の名を広く世に知らしめたのは「動物いじり」。首の長いキリンに熱いものを飲ませたり、体色を変化させるカメレオンをカラーテレビの前に置くなどのネタを独特の語り口で披露した。75年から日本テレビ系「―ウィークエンダー」で泉ピン子(76)らとリポーターに起用され、下世話なB級ニュースを面白おかしく伝え、お茶の間の人気者になった。 88年、二代目桂ざこばを襲名した際は、上方落語で初となる東京での襲名披露落語会も開催。 関西では、笑福亭鶴瓶(72)との共演で三題噺をテーマにした「ざこば・鶴瓶らくごのご」などお笑い番組だけでなく、「ちちんぷいぷい」「たかじんのそこまで言って委員会」などに出演。本音で語り、本気で怒り、時には人目もはばからず泣く飾らないキャラクターが老若男女に支持された。 本業の落語では、敬愛した兄弟子の桂枝雀さん(99年死去)の急逝後、自らも9人の弟子を育てながら、一門の筆頭弟子として米朝さんをサポート。2008年には自宅跡地のマンションに寄席小屋「動楽亭」を開設し、上方落語の底上げに尽力を惜しまなかった。