ビットコインキャッシュが上昇、ソラナは2位を不動のものに【マネックスクリプトバンク 格付けレポート 4月】
集中リスク
集中リスクは今回もほとんどの銘柄で得点に変化はなかった。その中でも大きく得点を下げたのがOKコイン(OKB)とアスター(ASTR)である。OKXでは異常な清算が発生したことで、OKBの価格がクラッシュし、その結果価格が突如50%も下落することとなった。OKX側はこのインシデントで被害を受けたユーザーに補償を行うと発表しているが、この件が集中度合いに一定影響を与えた可能性がある。 また、ASTRにおいてもAstar zkEVMでネットワークの巻き戻しが発生し、一部の資金がロックされるインシデントがあった。これはアスター側の問題ではなく、Astar zkEVMが利用するPolygon CDKのエラーによるものだとされているが、この件でASTRも20%以上価格が下がった。
注目ポイント:Telegramの上場とToncoinの再興
あまりメディアに登場しないテレグラムの共同創業者パベル・ドゥロフ氏が約7年ぶりに応じたインタビューでテレグラムのIPOの検討について語ったのは3月中旬のことであった。それ以降、価格は上昇トレンドに移り、今や7ドル前後と過去最高値をキープしている。特に4月に入ってからの出来高の増加は顕著だ。 これにはTONエコシステムのハブコミュニテイ「TONソサエティ」がAI新興企業のHumanCOdeと提携し、手のひらをスキャンする個人認証プロジェクトに取り組みはじめたことが大きいだろう。このプロジェクトでは5年以内に5億人のテレグラムユーザーにデジタルアイデンティティを提供することを目指している。これは人間の目の虹彩をスキャンするワールドコインの取り組みと非常に類似しており、今後ライバル関係が生まれる可能性も示唆されている。Telegramのアクティブユーザー数は推計9億人であり、5億人という目標はこのうちの50%以上のユーザーが手のひらの情報をテレグラムに預けることを意味する。暗号資産界隈ではよく使われるTelegramだが、ワールドコインと同様にプライバシー保護の問題もあり、果たしてこの高い目標を達成できるのかは未知数だ。 当初はテレグラムが自らICOを行おうとしたが、SECに別の暗号資産で行ったICOが証券法違反であると提訴されてしまい、TONの開発を中止せざるを得なくなった過去がある。そこで勢いを失ったかのように見えたが、TONはここにきて再び盛り上がりを見せている。先月にはスイスを拠点とする資産運用会社でアークインベストメントとともにビットコインの現物ETFも提供している21 SharesがTONで運用するETP(上場取引型金融商品)の提供を開始した。この商品はスイスの証券取引所で上場された時にはすでに4000万ドル相当のTONが運用されていたと報道されており、今後ますます流動性が高まることが期待されている。 OpenAIの隆盛と内紛でともに価格を上下させたワールドコイン同様に、TONも今後、テレグラムの盛り上がりに応じて値段が増して行く可能性がある。周辺プロジェクトもその追い風となるだろう。