次期メルセデス・ベンツCLA EQテクノロジーへ先行同乗 ツインモーターで約380ps 1.5L HVも
ヒタヒタと落ち着いたまま正確に突き進む
実はこの3代目CLAへ乗る直前に、メルセデスAMG C 63で同じ区間を走っていただいた。同等のタイヤを履いた四輪駆動だったが、フロントノーズを狙ったラインに留めるのに、ゾルケは終始ステアリングホイールと格闘していた。 転じてCLAを運転する彼は、とても平静。「運転席では、余りすることはありません」。と微笑む。ヒタヒタと落ち着いたまま、まっすぐ正確に突き進んでいく。 周囲は真っ白で、直線でのスピード感は薄い。道路と山肌との境界はあいまい。車内は安定していて、50km/hでも150km/hでも、体感に大きな差はないかもしれない。 ヘアピンが接近しても、彼はまったく動じない。自分なら減速するであろうポイントを通過し、想像以上の速度で突っ込んでいく。回頭が始まり、アクセルペダルから完全に力が抜かれると、最大200kWの効率を持つ回生ブレーキが強力に効く。 「Dモードに入れている限り、摩擦ブレーキは必要ありません。回生は滑らかで、ほぼ感知できないと思います」 デモとして、彼はブレーキペダルを強く踏んでみせた。ABSが即座に介入し、ボディはガタガタと振動する。コンピューターは最善を尽くしたはずだが、回生ブレーキより減速が弱かったことは印象的だった。 CLA 4マティック・ウィズEQテクノロジーの場合、フロントモーターの方が回生エネルギー量は高いという。しかし後輪駆動のシングルモーターでも、摩擦ブレーキなしで停止できるそうだ。
課題は全高だった 驚くほどのオールラウンダーか?
サスペンションの柔軟性に関しては、どの程度なのか判断が難しい。それでも、過酷な雪道でノートにメモを取れたことを考えると、かなりフラットだったことは間違いない。エアスプリングの設定はなく、アダプティブダンパーはオプションとのこと。 電費は8.3km/kWhに達する。イタリア・ナルドの高速テストコースを24時間で3878.5km走行し、バッテリーEVとしての長距離記録を塗り替えた、エネルギー効率を宿す。急速充電は、最大320kWに対応するという。 「ゼロエミッション世代の1リッターカーです」。ゾルケは、新しいCLAへの自信を伺わせる。優れた動的能力や操縦性を融合させることは、大変な仕事だったことも認める。すべてを盛り込みつつバランスさせ、低いボディを維持している。 メルセデス・ベンツのバッテリーEVは、駆動用バッテリーの製造コストと体積を理由に、大きく高価なモデルラインが中心になってきた。しかし技術の進歩で、より小さく安価なモデルも可能になると、彼は続ける。 「課題は全高でした。バッテリーをフロア下に敷く空間が必要でしたが、スタイリング的には、従来のモデルと同等に抑えたかったんです。空力的にも」。ボディサイズは、2代目CLAと大きく変わらないように見えた。座面高も、殆ど違わないだろう。 正式な発表後には、ライバルなどとの比較試乗を考えている。だが既に、驚くほどのオールラウンダーになりそうなことは、垣間見れたといえる。
フェリックス・ペイジ(執筆) 中嶋健治(翻訳)