bird、東阪ライヴで観客と25周年を祝祭 「新作も近々お届けできると思います」
9月18日にデビュー25周年記念したリエディット・ベスト『25th anniv. re-edit best + SOULS 2024』をリリースしたばかりのbirdが、東京と大阪で25周年記念ライヴ〈25th Anniversary Best 2024〉を開催しました。 9月27日のビルボードライブ東京のステージでは、ドラムスのGENTAを筆頭に、ベースの澤田浩史、ギターの樋口直彦、キーボードの渡辺貴浩、コーラスのHanah Springというバンドメンバーで、「ハイビスカス」やMONDO GROSSOへの客演曲「LIFE」といった人気曲やアンコールを含めて11曲を披露。 デビュー曲「SOULS」では、客席までマイクを持って下り、時折観客にマイクを渡して場内での大合唱につなげるなど、場内が幸福感に包まれるアニヴァーサリーらしい公演となりました。 [オフィシャル・レポート] bird、東阪ライヴで観客と25周年を祝祭!「25年ありがとうございます。ずっとこれからも歌を唱っていけたらと思っています。新作も近々お届けできると思います。ぜひ楽しみにしていてください!」 圧倒的な高揚感と開放感。birdの音楽をひとことで表現するならば、そんな言葉が頭に浮かぶ。1999年に名曲「SOULS」で衝撃的なデビューを果たし、R&Bディーヴァ・ブームを牽引し、時代の波をかいくぐりながら現在に至るまでぶれることなくソウルフルな歌を聞かせてくれる存在。今年25周年を迎え、リエディット・ベスト・アルバム『25th anniv. re-edit best + SOULS 2024』をリリース。そのアルバムを引っ提げて、発売日当日にはホームともいえるBillboard Live OSAKA、9/27(金)にはBillboard Live TOKYOで行ったアニヴァーサリー・ライヴでは、彼女の「圧倒的な高揚感と開放感」をあらためて見せつけられた。 オンステージのメンバーはドラムスのGENTAを筆頭に、気心知れた名うてのミュージシャンたちだ。ベースの澤田浩史、ギターの樋口直彦、キーボードの渡辺貴浩、コーラスのHanah Spring。タイトなビートとともに始まったオープニング・ナンバーはアルバム『vacation』から「ハイビスカス」。ダンサブルなサウンドに乗せて伸びやかな声が聞こえてくると同時に、一気にテンションが上がる。そして、立て続けにブラジリアン・ビートを伴ったMONDO GROSSOへの客演曲「LIFE」へとなだれ込んだ。いきなりのキラー・チューンに大きな歓声が沸き、自然と手拍子が会場に響き渡る。 「今日は25周年記念ライヴなので皆さんと楽しみたい」という短いMCの後、サード・アルバム『極上ハイブリッド』からムーディーな「flow」、そしてデビュー・アルバム『bird』からメロウな「君の音が聴こえる場所へ」と続く。絶妙なミディアム・テンポの心地良さはこのバンドならではだ。Hanah Springのコーラスがbirdの溌溂としたヴォーカルと見事に絡み合い、このあたりの繊細な質感を表現できるのは、彼女のキャリアの賜物と言っていいだろう。 そして、ここから一気にエンジンがフルスロットに。セカンド・アルバム『MINDTRAVEL』から、アッパーなナンバーを2曲連発。原曲では打ち込みのリズムがクールに響く「マーメイド3000」だが、そのニュアンスを崩すことなくダイナミックなダンス・チューンに仕上げたバンドの力量に圧倒される。そして、ギターのカッティングからファンキーに始まった「マインドトラベル」では、思わず踊り始める観客まで現れ、一気にライヴはピークを迎えた。 メンバー紹介の後、冨田恵一がプロデュースしたアルバム『Lush』収録のメロディアス・ナンバー「明日の兆し」で少しクールダウンした後、エレクトリックピアノのイントロに乗せて「次の曲は一緒に歌って欲しいな」と言って始まったのが、デビュー曲の「SOULS」。先日の「THE FIRST TAKE」でも披露されたナンバーだが、「本人が本当にたくさんのアレンジされたバージョンでライヴをしている」とコメントしていた通り、全く違ったしっとりとしたアレンジで始まって歌い始めると、なんと客席フロアにマイクを持って下り、練り歩きながら熱唱する。birdはマイクのコードが届く限界のところまでと、2Fまで上がって普段ビルボードライヴ東京ではあまり見ることのできないところまでファンのもとへ出向いて、時折、観客にマイクを渡し、サビやコーラスを歌わせることでじわじわと一体感が生まれていく。いつしか大合唱となって、会場全体が幸福感に包まれていった。 ここからは再びボルテージが急上昇。ブラジリアンとスパニッシュが合体したような「BEATS」の強烈なビートで盛り上がり、そのまま「THE FIRST TAKE」で最近公開されたばかりのラスト曲「空の瞳」と、デビュー・アルバムからのヒット・ナンバーを息つく間もなく歌い上げていく。25年前に生み出されたこれらの楽曲が、今もなお身も心も揺さぶってくれるなんて、本当に素晴らしいことだと感じる。グルーヴ感たっぷりのバンドの演奏もさることながら、天に届くかのような抜けのあるbirdのヴォーカルのパワーに酔わされた。 アンコールでは、新しいアルバムがもうすぐ完成するという嬉しいアナウンスがあった後、「季節の曲を歌います」と言って、『MINDTRAVEL』に収められた隠れ名曲「9月の想い」を披露し、ブルージーで少しセンチメンタルに締めてくれた。 5周年という節目のライヴは華々しい雰囲気で終わったが、birdにとってはあくまでも通過点のひとつでしかないのだろう。たしかに長年のファンにとってはうれしい選曲のセットリストであり、アニヴァーサリーらしい盛り上がりを見せてくれたし、お祭り的な要素を感じるライヴだった。しかし、すでに新作が準備されているということからも、すでに彼女は未来を見据えて前に進んでいる。25周年を経たbirdがどのような音楽を届けてくれるのか、デビュー時から変わらない「圧倒的な高揚感と開放感」に満ち溢れたライヴを体感してますます楽しみになった。 Text 栗本斉 Photo KenjuUyama(※全点9/18 Billboard Live Osaka)