俳優 赤楚衛二インタビュー「時には蓋をしてきた過去の傷とも向き合い誰かの励みになる演技を」
まさに明日を考えられないほど、無我夢中で駆け抜けた時を経て。壁を前にするたびに、真摯に己と対峙して、見えてきた景色とは。 【赤楚衛二さんの撮影画像をすべて見る】 「LVに白というイメージがなかったので新鮮です。かわいくて、爽やか。コートのサラッとした手触りもすごくいいですね」。
「時には蓋をしてきた過去の傷とも向き合い、誰かの励みになる演技を」
「大きく変わったのはメンタル。次から次へと波が押し寄せてきて、乗り越えるたびに少しずつ強くなったと思います。まだまだ不安定なところはありますけど、その時々の課題をクリアできたことは自信につながりました」 NHKの朝の連続テレビ小説からゴールデンタイムの初主演作まで、観る者に大きな印象を残した2023年を〝怒濤の日々〟と語る。 「渦中では、おぼれているじゃないですけど、必死にジタバタしている感覚。少し落ち着いたなと振り返って、波の先に到達していたと気づく。その連続でした」 壁を前にしたとき、何を考え、どう動いたのだろうか。 「アドバイスを聞いても、僕自身がそこに到達していないと、100%理解するのは難しい。だから、とことん己と向き合って、視野を広げるスイッチを自分で探し出すしかないんです」 つぶらな瞳をキリッと引き締め、真っ直ぐこちらを見つめ、真摯に言葉を紡ぐ。 「演技の本質的な部分はまだつかめてはいないのですが、意義は感じています。きっかけは映画『思い、思われ、ふり、ふられ』。役柄が、僕の人生と結びつくところがあって。誠実に対峙した先に、心の奥底で悩みを抱えている人の、何かしら励みになる演技がしたい、できるのではないかと、初めて強く思いました」 作品によって、引き受けるキャラクターは大きく異なるだろう。 「振られてばかりの役では、やっぱり落ち込みますね。なんで、何度も『ごめんなさい』って言われるのかなって。感情をリンクさせる道中では、過去とも必然的に向き合うわけですし、見て見ぬ振りをしてきた傷をこじ開けねばならない瞬間もある。正直、そこは辛い。でも、怠ってはならない、大切なプロセスです」 4月11日スタートのドラマ『Re: リベンジ ─欲望の果てに─』では主演を務める。 「父親を遠ざける役柄なのですが、その感情に至った過程に思いを馳せてみる。そうすると、僕とはかけ離れているとわかる。役柄を通して、漠然としていた自分の一面が言語化されていくのは、役者としてひとつの歓びです。あと、やっぱり現場で一緒に作り上げるところ。台本を1とすると、それを10に膨らませていく作業は、やっぱり面白い。今回は看板を背負いつつも、周囲の皆さんに生かされている意識を忘れずに。そして、最大限のパフォーマンスを発揮したいですね」 プライベートの楽しみを聞いてみると。 「休日は酵素風呂で体を温めて、整体で筋肉をほぐして、行きつけの喫茶店で台本を読んでいます。ガヤガヤとしていたほうが集中できる。あとは、友人と会って話すことですね。ここ数年駆け抜けた時期だったので、そういう機会があまり持てずにいました。30歳を前にして、あらためて人とのつながりなしでは生きていけないと実感しています」 好きなファッションは? 「私服で多いのは、ワークやミリタリー系。特に、フライトジャケットのような短丈のアイテムが、自分の定番。骨格に起因するのか、ロングコートだと全身がぼやけて見える気がして。ブルゾンのほうが上半身と下半身がバランスよくまとまります」 最後に、特集にちなんで、春のショッピング計画をたずねてみた。 「基本はネットで調べたり、気になる店にふらっと入ったり。生地感やシルエットで決めますね。ただ、デニムはずっと欲しい。いつでも探しています」 ●あかそ・えいじ 1994年生まれ。愛知県出身。2015年に俳優デビュー。2024年4月11日開始のドラマ『Re: リベンジ ─欲望の果てに─』(フジテレビ系)に主演。7月26日公開の映画『もしも徳川家康が総理大臣になったら』には坂本龍馬役で出演する。インタビュー&フォトブック『E』が好評発売中。 Photo_Yoshiyuki Nagatomo Styling_Taichi Sumura Hair&Make-up_Hiroko Makise Text_GINZA
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