福井県若狭地方に若者を呼込む「若女将インターン」とは?
民宿の経営に悩む日本海に面した町が、女子大生の力を借りながら一緒に課題を解決しようと「若女将インターン」に取り組んでいます。3回目を迎えたこの制度、参加した女子大生たちは何を学んだのでしょうか? 「若女将インターン」に取り組んでいるのは福井県若狭町です。人口約1万6000人の町で、日本海で獲れるフグやクエといった海産物をはじめ、熊川葛(くず)や福井梅が有名。ラムサール条約湿地に登録された三方五湖もあります。 同町内には、約100軒の民宿がありますが、観光客は年配で主に大阪などの関西方面からが中心。2015年春に長野~金沢間で北陸新幹線が開業することもあり、首都圏から金沢市経由で、特に若い層に同町まで足を伸ばしてもらいたいという願いや、また、後継者不足に悩んでおり、できれば民宿の後継者になってもらえないだろうか? という思いが町にあります。 2011年夏に町長の肝いりで始まったこの事業は、18歳以上の女性を対象に首都圏や関西圏から若干名を募集。12日間、民宿に泊まり込んで、客室の清掃や配膳、布団の上げ下ろしを体験すると同時に、フェイスブックなどのソーシャルメディアで若狭の魅力を発信、民宿や町に対して観光PRの具体策を提案するという内容。 手当の支給はありませんが、インターンでは、接客の礼儀・作法が学べるほか、自然の豊かさや人の温かさに触れる機会があり、就職活動にも役立つとして、2011年は8人、12年は15人、13年は6人と、これまでに計29人を受け入れてきました。 同町観光交流課の今井里美さんは「このままだとあと10年もしないうちに民宿の数が半分になるかもしれません」と危機感を募らせる一方で、「女子目線で若狭町の海や山をみてもらい、情報を発信してもらうことで同じ世代の女性を呼び込んでもらうことに期待しています」と話します。 若女将を受け入れると言っても学生のインターンのため、学生の指導にあたる民宿の負担は小さくありません。事業に対する理解が不可欠だったと言います。いまのところ、実際に若女将として“就職”した例はありませんが、学生からはどのような旅行プランを作ったらいいか、提供する食事にどんな工夫をしたらいいかなど、積極的な提案があったと言います。