ふるさと納税制度改正で泉佐野市が会見 副市長「後出しジャンケンのようなルール制定」
ふるさと納税制度改正で泉佐野市が会見 副市長「後出しジャンケンのようなルール制定は国家がとるべき手法と思えない」
「ふるさと納税制度」で過度な返礼品での競争を防ぐための改正地方税法が3月27日に国会で成立したことを受け、大阪府泉佐野市は8日、大阪市内で会見を開き「新制度の内容に多くの問題点がある」と主張した。 【中継録画】ふるさと納税新制度に異論 「日本一」泉佐野市が会見
2018年度の寄付金は360億円超え
これまで、ふるさと納税の集め方は各自治体での裁量に任せる形だった。しかし、泉佐野市はこれまでに1000種類を超える返礼品を準備。さらに、今年2月と3月限定で、その返礼品にアマゾンのギフト券を上乗せするキャンペーンを行ってきた。同市の2018年度の寄付金は、全国でトップとなる360億円以上にのぼるとみられているが、会見の中で関係者は「360億円より集まったのは事実」と話し、現時点でこの額を超えたことが明かされた。しかし、このことで国との対立が深まったとされている。 今回の改正法は、寄付者に贈る返礼品を調達費が寄付額の30%以下の「地場産品」に規制する。それにより、総務省は5月中旬にルールを順守すると見込んだ自治体にのみ、制度の対象を指定する方針を示している。また、対象外となった自治体への寄付は6月1日以降、制度に基づき税優遇が受けられなくなるため、泉佐野市は優遇対象外となる公算が高い。そのため泉佐野市では、今月2日から再びアマゾンのギフト券を再び返礼品に加えるキャンペーンを実施した。
副市長「制度そのものを大幅縮小させる設計しているように思えてならない」
会見冒頭で、泉佐野市の八島弘之副市長は「6月以降、新制度への泉佐野市の参加が認められない可能性が高いという観測もありますが、本市はこれまで、ふるさと納税制度に対する確固たる考え方や方針に基づき、適正に制度運用をしてきたと自負しています。4月5日に提出した(法改正後のふるさと納税指定制度にかかる)申出書は、新制度に適合した内容で参加申請を行った」と話した。 法改正については「法施行前の取り組みを踏まえた遡及(そきゅう)的、恣意的な判断などという『後出しジャンケン』のようなルール制定は、法治国家がとるべき手法とは思われません。総務省がこの権力の濫用に踏み切らないことを、本市としては切に願うばかりです」と強く述べた。 この会見については、新制度の内容に多くの問題があると考え「自治体や有識者、社会から広く意見を聞いて議論を重ねた上でのことなら、一定のルールを設けること自体は否定しません。しかし、今回の法改正は総務省の拙速かつ一方的な判断で行われ、返礼品を実質的に排除する意図をもち、制度そのものを大幅に縮小させる意思をもって設計しているように思えてならない」と主張した。