Tevaの新作ソールはアマガエルの足裏!? 自然界に倣う“バイオミミクリー”のデザイン
Teva(テバ)から新作サンダル「HYDRATREK SANDAL(ハイドラトレック サンダル)」が登場した。なにより特徴的なのはアウトソール。複雑な凹凸の配置は、なんとアマガエルの足裏から着想されたもの。「地面との設置面積を最大化した」という。「濡れた地面や路面で高いトラクションを発揮する」とされている。水辺でのパフォーマンスに特化したウォーターサンダルである。濡れた岩の上を歩くようなアウトドアアクティビティにおいて、既存のサンダルのグリップ力に物足らなかった人こそトライしたくなるだろう。 【画像多数】Tevaの新作サンダルの全体像
自然界に学び、模倣して製品化する“バイオミミクリー(Biomimicry)”デザイン。このバイオミミクリーの身近な例のひとつに「マジックテープ®」がある。一般名称で面ファスナーやベルクロなどと呼ばれる、付け剥がしテープの製品だ。発明のきっかけは野原を歩くと服にくっつく植物のオナモミだった。日本でのバイオミミクリーでよく知られるのが、1990年代に初登場した新幹線「500系」。先頭の形状が鳥のカワセミのクチバシを真似ている。空気抵抗を減らし騒音問題も解決に導いた。 現在では家電メーカーのシャープが「ネイチャーテクノロジー」と称して、自然界からの学びに積極的に取り組む姿勢を見せている。サクロン掃除機は猫の毛づくろいにヒントを得て、吸い込んだゴミの圧縮化に成功。洗濯乾燥機は高速遊泳するイルカの尾びれの形を回転羽根に応用したもので、モミ洗いのパワーをアップさせた。エアコンなどのファン類は鳥、トンボ、蝶などの羽根を模してつくられている。 ファッション分野では日本のベンチャー企業による人口繊維「スパイバー」が近年のメディアを賑わす注目株。昆虫のクモの糸を模したタンパク質構造の繊維で、多方面での利用が期待されている。 今回のTevaの新製品は素材開発でイノベーションを目指すことが多いファッション分野には珍しく、生物の形を応用して機能を高めたところに独自のセンスがある。履く人のマインドにおいても、アウトドアと人との距離を近づけるツールになりそうな意欲作だ。
文:一史