澤村國矢改め澤村精四郎、歌舞伎座「あらしのよるに」劇中で涙の襲名披露口上「門閥外に希望ある歌舞伎界のため…」
「十二月大歌舞伎」(26日千秋楽)が3日、東京・歌舞伎座で初日を迎えた。第1部「あらしのよるに」の劇中で、澤村國矢改め2代目澤村精四郎(きよしろう)の襲名披露口上が行われた。 精四郎は「超歌舞伎」で長く共演してきた中村獅童からの紹介で、襲名披露の口上を述べた。一般家庭出身の精四郎は「門閥外よりこの歌舞伎界に飛び込んできた者にとりまして、このような場を設けていただきまして本当にありがたく、幸せにござりまする」と感謝。「この後とも紀伊国屋の繁栄、そして、門閥外にとって希望ある歌舞伎界のため、何卒(なにとぞ)ご後援のほどを偏(ひとえ)にお願い申し上げ奉る次第にござりまする」と決意を語った。 門閥外から幹部俳優となった精四郎の決意表明に、会場中から割れんばかりの拍手が送られた。感動の涙を流す精四郎に獅童から「あなた、何を泣いているんでやんすか」と突っ込みが入ったが、その獅童の声も震えていた。 ◆襲名披露口上全文 獅童「それよりもあなた、おいらが来たからにはちょっとねえ、ここでご挨拶をしたらいかがでやんすか。狂言半ばではござりまするが、口上をもって申し上げ奉りまする。こちらにおりまする澤村國矢さんでございますが、この度國矢さんの師匠でございます澤村藤十郎のお兄様、ならびに松竹株式会社、諸先輩の皆様、そしてご贔屓(ひいき)筋のみなさまのご了承を得まして、二代目として澤村精四郎を襲名する運びと相成りましてござりまする。私、本当に大好きな方でございます。この後とも、古典歌舞伎をはじめ、新作歌舞伎、お互い挑戦する気持ち、時代を切り拓いていく気持ちを忘れずに、時には励ましあい、時には切磋琢磨(せっさたくま)しながら、役者人生を共に歩んでいければと思っております。精四郎さん、ご挨拶をお願いいたします」 精四郎「みなさまの麗(うるわ)しきご尊顔の体を拝し奉り、恐悦至極に存じ上げ奉ります。ただいまご紹介いただきましたるとおり、松竹株式会社ならびに関係者各位、また諸先輩方のお許しをいただき、そして、何よりもここにおられまする獅童さんの大きな後押しによって、当歌舞伎座において、師匠澤村藤十郎の芸養子となり、また師匠が以前名乗っておりました澤村精四郎の名跡を二代目として、襲名させていただく運びと相成りましてござりまする。門閥外よりこの歌舞伎界に飛び込んできた者にとりまして、このような場を設けていただきまして本当にありがたく、幸せにござりまする。これからも、なお一層芸道に精進を重ねていく所存にござりますれば、いずれもさまにおかれましては、この後とも紀伊国屋の繁栄、そして、門閥外にとって希望ある歌舞伎界のため、何卒ご後援のほどを偏にお願い申し上げ奉る次第にござりまする」
報知新聞社