朝ドラ『虎に翼』39歳俳優の“ヘの字の唇”の表現力がスゴい理由。実は一番アツい人?
本作で一番熱い人
微動だにせずとも肩で主張してしまう松山ケンイチ。おあずけになっていた団子を頬張る等一郎。早替えのように目まぐるしいハの字からヘの字へ。明律大学の講演に呼んでくれた穂高と寅子が言い合うときにも部屋の外で静かに等一郎は腕組みして仁王立ち。 静かだけれど、なんだか熱いものを感じる。本作で一番熱い人は、松山ケンイチ扮する、この桂場等一郎なのかもしれない。学者としての含蓄は確かだが、どうもトンチンカンな了見で寅子を腹立たせてしまう穂高の一方で、冷血漢に見える等一郎が実は寅子の理解者なのだ。 第10週第46回、戦後1947年、家族を養うために職を得ようと寅子が司法省に赴く。ここで第1話冒頭場面に接続される。取り合おうとしない等一郎をもろともせずに食い下がる寅子。 彼女の態度を気に入った民法調査室の主任・久藤頼安(沢村一樹)の口添えで寅子は、事務官として働くことになるが、どうも彼女は無の感情になる「スンッ」状態に陥り、なかなか実力を発揮できない。そんな彼女を見て、等一郎は直接的な助け舟を出すわけではない。でも彼は彼女が再起する瞬間を待っている。 第49話、またしてもトンチンカンな穂高によって寅子が覚醒の「はて」を連発する。寅子の後ろにじっと立っている等一郎が、ハッとした顔をする。 その直前には休憩中に甘い物を食べようとして、またしても寅子が話しかけてきて寸止めをくらっているというのに。やっぱり熱い人である。 <文/加賀谷健> 【加賀谷健】 音楽プロダクションで企画プロデュースの傍ら、大学時代から夢中の「イケメンと映画」をテーマにコラムを執筆している。ジャンルを問わない雑食性を活かして「BANGER!!!」他寄稿中。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業。Twitter:@1895cu
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