●タクシー運転手 ～約束は海を越えて～

　「タクシー運転手 ～約束は海を越えて～」は、韓国で大ヒットを記録したヒューマンドラマ。1980年に韓国で多くの犠牲者を出した反政府蜂起「光州事件」を取材したドイツ人記者と、彼を乗せて光州へ向かった平凡なタクシー運転手の実話をモチーフにしたストーリーです。 《編集者コメント》 　民主化を求める民衆蜂起、光州事件を基にした社会派ドラマです。あらすじだけでは堅苦しそうなイメージを持つかもしれませんが、ソン・ガンホさんの演技力と設定のおかげでとても見やすい構成になっています。主人公のタクシー運転手は学生を見下したり、タクシーの修理代をケチったり、はてはお金のために同業者の客を横取りしたりする“小市民“。当然のように運動も知らず、その取材に訪れたドイツ人記者に対しても「金のため」と決めつけます。 　そんな無知な主人公を通じて、自然と観客も光州事件のことを知り学んでいくことになります。物語が進むにつれて運動をとめようとする政権と民主化を求める市民との対立構造が鮮明に描かれていき、高まった緊張感から目を離せなくなります。クライマックス直前、主人公が決意を固めるシーンは鳥肌もの。笑いあり、涙あり、まさかのカーアクションもありと最後まで飽きさせない作りになっています。