10月から始まる「インボイス」って何? 免税事業者がピンチ!? なぜ… 【#みんなのギモン】
■免税で“消えていた”消費税をきちんと納めてもらう制度
つまり、課税事業者は、これまでよりも納める消費税が増えてしまうということです。 免税事業者が免税のままだと、その分「取引先に税を負担させてしまう」ようなことになり、判断が難しい状況になっています。不安の声があがるのも、このような事情によるものだと思われます。 ただ、国としても免税で消えていた100円をきちんと納めてもらい、それを誰が納めるのか、どの事業者が払うのか、ということがこの制度で明確になります。 では、消費者の生活には影響はないのでしょうか。 いままで通り買い物をして消費税を払う消費者としての行為は、当然変わりません。事業を営んでいない消費者に変化はありません。ただ、個人で何か作って販売をしている人、教室を運営している人などは、売り上げ金額によっては関係します。だからこそ反対の声があがっているわけです。 これまで“免税”前提でまわっていたものが「変わる」となると、その影響は大きいといえます。
■免税事業者につのる不安 契約終了 負担増や倒産のおそれも…
税法に詳しく、弁護士でもある青山学院大学の三木義一名誉教授に聞きました。 「免税業者のままでは、契約を打ち切られたり、契約金の引き下げなどをされるおそれがある」ということです。 特に、売り上げが少なく、他の事業者に変えられてしまうような“特殊性の少ない”技能である人は、インボイスが発行できないため取引を停止されることを心配する声もあります。そうなると、最悪の場合は倒産してしまうおそれもあるといいます。
■判断迫られる免税事業者 そのままか 課税事業者に切り替えるか
実際、東京商工リサーチが8月に行った全国5390社に対する調査では、制度導入後の免税事業者との取引について「これまで通り」と答えた企業は2989社で55.4%にのぼりました。一方で、「取引しない」「取引価格を引き下げる」と回答した企業は合わせて635社と、11.8%でした。
一方で三木教授は「課税事業者になるためには初期投資が必要になり手間暇も増えます。様々な特例や経過措置なども導入はされていますが、これらの手続き自体も零細事業者には煩雑である」という指摘をしています。 事業者にとっては免税事業者のままでいるか、課税事業者に切り替えるか、判断が迫られています。