ピックアップがいまプチ人気! マー坊の中古車も高い! だったら「トライトンミニ」を出せば売れるんじゃ……の可能性をマジメに考えてみた
いまピックアップブームがキてる? 過去には軽自動車モデルも
つい最近、1978年に発売されたフォルテをルーツとする、世界約150カ国で販売される三菱自動車の世界戦略車でもあるピックアップトラック、トライトンを乗りまわした。日本仕様はマリンスポーツやウインタースポーツ、キャンプなどのアウトドアアクティビリティの可能性を広げるダブルキャブ、駆動方式は三菱自慢の4WDだ。 【画像】かつて日本で生まれた「異色派」ピックアップの画像を見る 大きな特徴が、カーゴベッドと呼ばれるカバー(ソフトと電動あり)も付けられるオープンな荷室。内寸は奥行き1470mm、幅1525mm。2×4ランバーアタッチメントやフック付きと、ビッグで自由に使えるタフなカーゴスペースが用意されている。ボクの生活とは無縁っぽいが、これがいま、静かに売れているという。 GSRグレードのキャビンは豪華で、レザーシート、フルオートエアコンからリヤサーキュレーターまで備わっている。つまり、インテリアは極めて乗用車ライクなのである。 ワイルドすぎるエクステリアをもつトライトンだが、日本仕様向けの乗り心地重視の足まわりのセッティングが施された走りは、見た目より遥かに快適。とくにシートのかけ心地のよさは特筆モノといっていい。 そんなトライトンに乗って思い出したのが、軽自動車にピックアップトラック的キャラクターをもたせた、1983年に登場したスズキのマイティボーイだ。2代目セルボをベースにBピラーの後ろのルーフをぶった切り、ピックアップトラックにカスタマイズした、しかしメーカー純正の”可愛ワイルド”な1台である。 当時の価格は45万円というのだから、その安さも魅力的だったかも知れない。とはいえ、ヒット作とはならなかったのも事実。極めて需要が限られていたということだろう。もっとも、いまや41年も前のマイティボーイは物珍しさもあって超レア車。修復歴ありのタマも少なくないなかで、新車以上の値段で中古車が取引されていたりする。
いまこそミニサイズのピックアップもあり?
ここで想像を働かせてみると、三菱にはワイルドな”ミニバンの皮を被った本格SUV”と呼んでいい、長年、アウトドア派にも愛され続けているデリカD:5があり、そのミニ版のデリカミニが大ヒット中! であれば、マイティボーイの中古車価格高騰、デリカミニのヒットに便乗して、トライトンのミニ版、eKクロスあたりをベースにピックアップトラック化したモデル、トライトンミニもあっていいんじゃない……と一瞬、脳裏をよぎったのだ。 しかしだ。スーパーハイト系軽自動車のN-BOX(JOY)、スペーシアギア、タントファンクロス、そしてもちろん、デリカミニなどがヒットしているのは、日常使いのしやすさ、アウトドアシーンに似合うデザインに加え、広大な室内空間と抜群のシートアレンジ性を生かした、フルフラットアレンジによる車中泊カーとしての資質、幅広い使い勝手のよさだとも考えられる。 そうなると、キャビンとカーゴベッドが独立したピックアップトラック風のトライトンミニの実用性、ユーザー層はかなり限られ、現在のアウトドアブーム、車中泊ブームの最中では、マイティボーイがそうであったように、かなり趣味性の強いニッチなモデルとなってしまうに違いない。 たとえばキャンプ場などの構内用車両としても、ワンボックス軽、軽トラが主流で、わざわざスタイリッシュな軽乗用車ベースの軽ピックアップトラックを使う需要などないに等しいかもしれない。だって、荷物積載重視でちょっとイカしたクルマが必要なら、もう、なんでも積めるホンダN-VANがあるじゃん……となる。マイティボーイの短命も、そこがネックだったと記憶する。 もちろん、オートメッセやオートサロンなどのイベントで、アフターマーケットのカスタマイズメーカーが参考出品して様子を見ることも考えられなくもないが、これまでそうしたカスタマイズカーが皆無だったことも事実で、繰り返すけれど、需要はかなり微妙。サーフボードを積むにしても、トライトンやハイラックスぐらいのボディサイズ、カーゴベッドのサイズ(フロア長)は必要だからである。 WEBカートップ編集部から「いまマー坊の中古が高い! だったらトライトンミニを出せば売れるんじゃ?」なんていうお題をいただいたものの、どう考えてもかなり非現実的な話だ。それよりも、パジェロミニの復活のほうが現実的ではないだろうか。 もっとも、そのうち、ボクの予想に反して、本当にトライトンミニらしきクルマが三菱からぽこっと発売、またはショーなどで参考出品されたとしたら、予測力欠如ということで、謝ります……。
青山尚暉