阪神・高橋遥人の復帰を支えた和田豊2軍監督の親心「一番いい条件で」先発にこだわった理由とは…
(ウエスタン・リーグ、阪神4―1オリックス、4回戦、17日、鳴尾浜)阪神・高橋遥人投手(28)が先発し、1回1安打無失点。和田豊2軍監督(61)は左腕が1イニング限定だったにもかかわらず、2021年11月6日の巨人とのクライマックスシリーズ(CS)ファーストステージ(甲子園)以来、893日ぶりの実戦復帰を先発として送り出した。そのワケとは…。 【写真】佐藤輝明がスッキリ!巨人戦前の練習にあご髭を剃って登場 「復帰したときにはね、先発でいくピッチャーなんで。一番いい条件で投げさせてやるということをね、投手コーチも含めて話をした」 高橋は2018年にドラフト2位で亜大から入団。左肩の筋力が弱いことでキャンプは2軍スタートとなったが、4月11日の広島戦(甲子園)で1軍初登板。7回2安打無失点で勝利を飾った。阪神の新人が甲子園で初登板勝利を挙げたのは1959年の村山実以来。最速152キロの直球を武器にスライダー、ツーシームなどを操る高橋は三振がとれる先発完投型で1軍通算44試合登板のうち、43試合で先発マウンドに立った(2019年に1ホールドを記録)。 「なんとか本来いるべき場所に戻してやれるように、みんなでサポートしていきます」と和田2軍監督。2012年から1軍で4年間指揮をとり、14年には日本シリーズに進出した。退任後は球団オーナー付シニアアドバイザーなどを経て、23年に現場復帰。指揮官がいつも大切にしているのは「原点」だった。タイガースアカデミーの特別顧問を務めたときも「原点となるキャッチボールから楽しく教えたい」と「原点」というフレーズを使っていた。 通算14勝の高橋は22年4月に左肘の左肘内側側副靱帯(じんたい)再建術(通称トミー・ジョン手術)を受けるなど苦しいリハビリ期間を乗り越えた。「ただ、きょう1イニング投げたからポンポンポンと上げていくのではなくて、この1イニングを何回か繰り返しながら、少しずつイニング数を(増やす)というところになるよね、現段階ではね」。決して〝高跳び〟はさせない。暗黒時代と呼ばれた時期からタテジマを背負ってきた。真新しいマウンドが高橋のリスタートの場。和田2軍監督の熱く、優しいメッセージがあふれていた。(阿部祐亮)