“プレミア勢対決”を制した市船 総体への切符を3年連続で獲得!
総体出場をかけた千葉県決勝は“プレミア勢同士”の戦いとなり、市立船橋が流通経済大柏を2-1で破り、3年連続で本大会への切符を手に入れた。 【フォトギャラリー】流通経済大柏 vs 市立船橋 精魂尽き果てるような炎天下の激闘だった。試合終了のホイッスルが吹かれると、両チームの選手たちが次々にピッチに突っ伏したが、それぞれの表情はまったく異なっていた。歓喜に沸く市船。歯を食いしばる流経大柏。明暗がくっきりと分かれた。 大方の優勝予想は「流経大柏」だったかもしれない。その根拠となるのが高校年代の最高峰リーグ、高円宮杯 JFA U-18サッカープレミアリーグ2024 EASTでの順位だ。決勝前の時点で、首位をいく流経大柏は7戦負けなし。かたや、最下位の市船は未勝利のまま。両者の置かれた状況は、あまりにもかけ離れていた。 だが、一発勝負だけに何が起こるか、わからない。「相手はプレミアの首位チーム。私たちは思いきってチャレンジするだけです」と市船の波多秀吾監督は意気込んでいたが、その言葉を実証する形となった。 試合は流経大柏ペースで始まった。だが、徐々に市船がもり返していく。総体の県予選に入ってから苦しい試合の連続ながら、そこを潜り抜けてきた成功体験が市船イレブンに勇気を与えていたのだろう。球際で戦い、ピンチの状況は体を張り、チーム一丸となってハードワークし続けた。 前半を0-0で折り返した53分、均衡を破ったのは市船だった。相手のリスタートを寸断し、ボールを回収するや、一気に逆襲に出る。GK1ギマラエス・ニコラス・ロドリゲス(3年)から左サイドに張っていたFW9伊丹俊元(3年)にロングフィード。ボールを受けた伊丹は、相手DFとGKの間に鋭いクロスを入れる。懸命に走って、ファーサイドから詰めていたFW久保原心優(3年)がダイビングヘッドで仕上げた。 「守備陣が頑張ってくれていたので、自分のゴールで何とかチームに貢献したいと思っていました。長い距離を走ったかいがありました(笑)。プレミアリーグではなかなか点が取れず、モヤモヤしていましたが、総体予選の初戦で2点を決められて、少し吹っ切れたところがあって、今日のゴールにもつながったかなと感じます。これを、今後のいいきっかけにしたいです」(久保原) 追いかける側に回された流経大柏が、60分に意地を見せる。FW10柚木創(3年)が蹴った右CKのボールに対してCB3富樫龍暉(3年)がジャンプ一番、ヘッドで決めた。試合はいったん振り出しに戻る。だが、73分の一発が勝負を分けた。 市船の左SB13渡部翔太(3年)のクロスに対して、相手ゴール前に上がっていたCB5岡部タリクカナイ颯斗(3年)が競り、こぼれ球にCB4ギマラエス・ガブリエル・ロドリゲス(3年)が絡み、最後はFW9伊丹が押し込んだ。 再び振り出しに戻すべく、流経大柏はCB4奈須琉世(3年)を前線に上げるなど、攻撃にエネルギーを費やしたが、スコアは動かず、タイムアップ。この瞬間、市船が“福島行き”を決めた。 「今年は中村(健太)コーチが中心となってチーム作りを進めていますが、一戦一戦、結果を出すことで、選手たちも自信を深めています。その成長ぶりが本当に頼もしく感じられます」(波多監督)総体での目標はもちろん優勝だが、まずは前回のベスト8越えを目指す。 (文・写真=小室功)