6月から『森林環境税』徴収 二重負担も&『定額減税』に企業「複雑で地獄」
この時期、住民税の納税通知書が会社や自宅へ届きますが、今年はその通知書に“新たな税”が記載されています。 それが『森林環境税』です。 【画像】37府県ですでに独自の“森林税” 横浜市では三重負担?!
■“森林ゼロ” 都会にも1億円!?『森林環境税』の使い道
街で話を聞きました。 60代男性 「知らなかった。わからないから、逆にあまり痛みを感じない。そこら辺がうまくできている」 20代女性 「初めて知った。東京(都心)は、森林が少ないので、どこに使われるのか疑問」 森林環境税は、 ●今月(2024年6月)から徴収が始まりました。 ●1人当たり年間1000円が、住民税に上乗せして徴収されます。 ●法律で、森林整備や木材利用の促進などに充てるよう定められています。 去年までは、東日本大震災の復興のための『復興特別税』が徴収されていました。これは、住民税に上乗せされて、年1000円です。 それが2023年度で終了し、このタイミングで、今月から『森林環境税』が徴収されます。 東京経済大学の佐藤教授によると、 「2019年から、森林保全に関するお金の交付が始まっている。そのタイミングで増税するのではなく、復興特別税がなくなった今のタイミングで増税するのは、ある意味、負担に対する配慮と言える。ただ、このタイミングでの増税は『復興税の分の税収を下げるのが嫌だから、そのまま残しておこう』というふうに疑われても仕方がない」ということです。 森林保全関連のお金は、 ●2019年度から、国庫から自治体(都道府県・市区町村)に資金が配分されています。 ●森林整備に必要な財源確保のため創設されました。 2019年~2022年の4年間で、国から自治体に渡ったお金は、合計で約1500億円です。 しかし、約525億円(約35%)が使われていないということです。 東京の渋谷区にも配分されています。 渋谷区には、森林はありませんが、2019年~2023年の5年間で、約9900万円配分されています。このうち使われたのは、約900万円(約1割)です。 去年初めて、公共施設の建て替えを、国産の木材を使うことで、森林保全関連のお金を使いました。 残りの約9000万円は、今後、老朽化した建物の建て替えに使うために積み立てているということです。 渋谷区の担当者は、 「元々、公共施設の建て替え時に使用する予定だった。建て替えは、毎年あるわけではないので、(活用できていないのではなく)タイミングの問題」と話しています。 森林保全関連のお金を、渋谷区と他の自治体と比べます。 ●渋谷区は、森林面積ゼロ。 人口は、約23万2000人。 配分された森林保全関連のお金は、2022年で約2600万円です。 ●熊本・宇城市は、森林面積が2092ヘクタールで、渋谷区の面積の1.4倍です。 人口は、約5万7000人。 配分された森林保全関連のお金は、2022年で約1500万円で、渋谷区より少ないです。 森林保全関連のお金の配分基準は、 (1)森林の面積 (2)林業就業人口 (3)人口 の3項目です。 総額の25%が人口に従って配分されるので、森林面積が少なくても、人口が多い自治体は、分配額が大きくなる傾向にあります。 都市部ほど分配額が増える傾向にあるということです。 森林保全関連のお金は、どういった使われ方をしているのでしょうか。 栃木・鹿沼市は、鹿沼産木材を使った市役所の新庁舎の整備に、約3300万円を使いました。 (総事業費 約66億円のうち) 埼玉・越谷市は、秩父産木材を使った鉛筆を購入し、配布しました。 1000本作成するのに、10万円使いました。 山梨・都留市は、間伐材を活用した業務用名札ケースを94個作成し、33万円使いました。