【阪神JF・レース回顧】明暗くっきり…ブラウンラチェットになくてアルマヴェローチェにあったもの
[GⅠ阪神ジュベナイルフィリーズ=2024年12月8日(日曜)2歳牝、京都競馬場・芝外1600メートル] 【渡辺薫&柏木集保 私たちはこう見た】 渡辺 自慢話は後に取っておくとして、1番人気に支持されたブラウンラチェットが16着と馬群に沈むとは…。それ以前に12キロも減らした428キロの馬体重にも驚いた。 柏木 見た目には数字ほど細くは映りませんでしたが…。むしろ馬格がない点が気になりました。過去10年の勝ち馬で最も小さかった2018年ダノンファンタジーでも460キロ。マイラーとしてスピードの裏付けがあるタイプに小柄な馬は少ないものです。 渡辺 レース内容は後方のまま。最後まで闘争心に火が付く場面はなかったし、早々にエネルギー切れだったかもしれないな。 柏木 やはり関東馬にとって関西圏への輸送が大一番で初めてというのはリスクになりますね。で、アルマヴェローチェに◎はお見事でした。 渡辺 こちらは484キロと好馬体の持ち主。かつ好調教がしっかりとパフォーマンスに反映された。加えて岩田望のエスコートもパーフェクト。好スタートから少し下げて脚をためて、直線は外に出すという注文通りのレース運び。追えば追うだけ伸びた末脚が器の大きさの証明だ。 柏木 京都での施行で傾向がどうなるかとみていましたが、見た目ほど馬場は悪くなく、少しタフなコンディションといったところ。イーブンペースで1分33秒台の決着ならば今後につながる内容とみていいでしょう。アルマヴェローチェの不安点は時計の裏付けがなかったことですが、むしろ1800メートルを克服している総合力が生きました。 渡辺 ハービンジャー産駒だし、体形からも距離はさらに延びても良さそうだな。 柏木 母の父ダイワメジャーはナミュールと同じ配合ですし、今後の成長力も期待できます。オークスまでを見据えることができそうですね。 渡辺 2着ビップデイジーは稽古は良く見せないが実戦タイプ。小柄ながらもしぶとく伸びて2着争いを制したように、桜花賞へ向けての展望は明るい。好位から粘り込んだテリオスララは486キロと恵まれた馬体の持ち主。持ち前の持久力を発揮した。 柏木 勝ち馬もそうですが2、3着馬も1800メートルで結果を残してきた組です。テリオスララは関東馬でも萩Sで遠征を経験済みだった点も大きかったでしょう。 渡辺 ショウナンザナドゥは最後の踏ん張りが利かなかったが、勝ちにいく競馬で4着なら評価は下がらない。キズナ産駒でこれからの伸びしろも期待できる。一方、直線勝負に徹したスリールミニョンの後塵を拝したコートアリシアン、ミストレスは相当に物足りないな。 柏木 今回が初めての敗戦なら情状酌量の余地もありますが、連敗となるとどうしても評価は下がります。 渡辺 アメリカから参戦してきたメイデイレディは13着。やはり2歳時の遠征のハードルは高そうだ。 柏木 今後の遠征にも影響を与える結果になりそうです。いつにない好スタートで速いペースに乗ってしまったことも、想定外だったかもしれません。
東スポ競馬編集部