倒壊寸前の“迷惑空き家” 都会でナゼ増える? 相続した娘は「申し訳ありません」と謝罪の言葉を…
■「家系図」で親戚まで…相続した娘の居場所を
別の日、世田谷区役所では、相続した娘の戸籍謄本を取り寄せ、家系図を作っていた。接触できないため、調査範囲を親戚まで広げ、相続した娘の確実な居場所をつかむ。細い糸をたぐり寄せる作業が続いていた。 千葉係長「(相続した娘と)世田谷区が連絡取れていないので、その次に親族、どのような方がいるのか調べて接触を図っていく」
■相続した娘は何度も「申し訳ありません」と…
我々は相続した娘から話を聞くため、彼女が帰宅するのを待った。そして、待ち続けること15日。ついに彼女が現れた。 ――こんばんは。日本テレビですけど、空き家の取材をしていまして。大変な事もあったと思うのですが。 相続した娘「申し訳ないです」 この日、相続した娘が取材に答えることはなかった。別の日の取材でも彼女は「申し訳ありません」と謝罪の言葉を繰り返した。 彼女が相続したのは両親が住んでいた実家だが、親との思い出や実家への愛着から取り壊せずにいる人は多いという。
■区が「立ち入り調査」解体への働きかけも
倒壊寸前の“迷惑空き家”。我々が相続した娘を取材してから2か月後、新たな動きがあった。 ――世田谷区の調査チームが今から立ち入り調査に入るということです。 老朽化した家の状況などを把握するため、空家等対策特別措置法に基づく立ち入り調査が行われた。 千葉係長「建物の老朽化が進み危険な状態になるのであれば、(立ち入り調査などの)法的な措置は進めます。それと並行して、所有者が自分の責任で、自分で決断して(解体に向け)動いていただく。そちらを促す作業も進めています」 千葉係長によると、その後、相続した娘と連絡がとれ、話し合いも進んでいるという。区は、空き家が解体されるまで働きかけを続けていく方針だ。 (4月22日放送 調査報道特番『QUESTION!みんなのギモン』より) ◇ ◇ ◇ 川崎正明(日本テレビ報道局・調査報道班デスク兼記者) 報道局に20年以上在籍しニュース番組の取材、制作に携わる。過去には食品の産地偽装の実態や原発の再稼働問題などを調査報道。