倒壊寸前の“迷惑空き家” 都会でナゼ増える? 相続した娘は「申し訳ありません」と謝罪の言葉を…
■木に覆われた空き家に不安を感じる近隣住民
小田急線の駅から程近い場所に見つけた倒壊寸前の空き家。 ――こちらのお宅もすごい状態。不法投棄されたようなものがたくさん。 玄関の隣に植えられた木が成長し、家全体を覆っていた。隣の家の3階の窓からのぞいてみると。 ――屋根が完全に抜けています。1か所、2か所、3か所…倒壊寸前。 朽ちた屋根には穴があき、今にも崩れそうだ。隣の家との距離は、わずか数十センチ。住宅が密集する都会の空き家ならではの危険な光景が広がっていた。 近所の人「火事が、火が一番怖い」 火が出たら隣に燃え移るおそれもある。 ――鳥が木の中に入っていきます。 夕方になると、たくさんの鳥が集まり、木の実を食べていた。 近所の人「木の実を食べてフンをする。これ全部、鳥のフン」 電線に止まった鳥のフンで、道路は汚れていた。 近所の人たちによると、高齢の夫婦が亡くなった後、相続した娘が家の管理をしていたが、ここ数年は放置されたままだという。
■相続した娘の自宅へ…ドアに挟んだメモは
相続した娘の居場所を突き止め、話を聞きに向かうと、そこには千葉係長らの姿があった。世田谷区も調査を進めていたのだ。 自宅を訪ねて接触を試みるが、留守のようだったため、千葉係長は連絡をくれるよう記したメモを玄関ドアの隙間に挟む。相続した娘が戻れば、メモはなくなっているはずだ。 男性職員「来週来て(メモが)動いているか、動いていないか…」 6日後、千葉係長らが再び訪れると、メモはなくなっていた。 千葉係長「ドア開けているのか…どうするかぁ」 男性職員「けっこう遅い時間に帰宅している感じなんでしょうか」 千葉係長「1回も会話をせずに、ここまでくるのはびっくり」 ――今までこういうケースは? 千葉係長「ここまではないです。手紙送っても無視されることはありますが、1回ぐらいは返事くれたのが普通」 世田谷区では、これまで何年にもわたって、手紙や電話、訪問などで、相続した娘と連絡を取ろうとしてきたという。 千葉係長「放置される空き家ができるのはどうしてなんだろう。そこを突き止めていって (放置される)空き家を発生させないというところまで持って行きたい」 空き家を放置する理由を知りたい――それが問題解決の糸口になると、千葉係長は言う。