留萌沖の三船遭難、船体状況判明 遺骨収集の進展期待
終戦直後、南樺太(現ロシア領サハリン南部)からの引き揚げ船3隻が北海道・留萌沖で攻撃されて約1700人が死亡・行方不明となった「三船遭難事件」を巡り、今も海底に沈む2隻の立体図がソナー調査を基に作成された。一般社団法人「ラ・プロンジェ深海工学会」(長崎県五島市)の代表理事で東京大の浦環名誉教授(海中ロボット学)らのグループが実施したもので、浦氏が22日、留萌市で営まれた遺族会主催の慰霊祭で報告した。 過去にも潜水調査が行われたが、現場海域は潮が強くて透明度も悪く、詳細は不明だった。浦氏は今回得られたデータは遺骨や遺品の捜索に生かせると強調し「水中考古学の専門家らが興味をもって調査がさらに進めば」と期待している。 調査は海底に向けて複数の音波を発射し、反射の仕方から海底の地形や海中の物体の形を計測する「マルチビームソナー」と呼ばれる機器を使い、20日に実施された。 2隻のうち「小笠原丸」は船体の全体像が確認できた。水深100mに沈んでいるとされてきたが、実際は約60mだったことも判明した。