DNA情報から「顔」浮上を 遺族ら法整備求める声 世田谷一家殺害24年
平成12年、東京都世田谷区の住宅で会社員、宮沢みきおさん=当時(44)=一家4人が殺害された事件は30日、発生から24年を迎えた。現場には、犯人の血液が遺留し、DNA型も判明しているが、犯人逮捕には至っていない。DNA研究が進む一方、現在の捜査では、DNA型の照合のみにとどまる。遺族らはDNA情報から「顔」や「年齢」などの捜査対象を浮かび上がらせるための活用ができるよう法整備を求めている。 【画像】世田谷一家殺害事件の犯人の服装と、主な遺留品 世田谷一家殺害事件では、平成18年ごろに捜査本部が専門家に犯人のDNA解析を依頼。日本や韓国などアジア系を父系に持ち、地中海周辺の南欧系を母系に持つと推定されたが、犯人を絞る決め手にはなっていない。 「個人識別の範囲でなく、DNAから遺伝子情報を割り出せれば犯人に迫れる」。「宙の会」特別参与の土田猛さんはそう指摘する。 土田さんが着目するのはDNA情報の活用だ。米国では現場に残ったDNAの情報から犯人の似顔絵を作成し、犯人逮捕に至った事例もある。DNA情報から民族的ルーツや身体的特徴、容貌までも読み取れるようになりつつあり、土田さんは「捜査対象を絞る材料になる」と話す。 ただ、個人情報保護上の懸念や精度の問題もあり、実現は難しいのが現状だ。警察庁は容疑者や変死者、現場遺留のDNAをデータベース化して保管している。DNAを使った捜査を規定した法律はなく、国家公安委員会規則など警察の内規で運用。捜査へのDNA情報の利用は、犯人や被害者のDNA型と現場に遺留されたDNA型を照合するといった個人識別に限られている。 宙の会はDNA情報に関する法整備を求める要望書を国に提出しており、土田さんは「声なき被害者に思いを寄せると、犯人に近寄る方法があるならやるべきだ」と訴えている。(内田優作、前島沙紀、梶原龍)