脚はつり、右手にはマメ… 西武・渡辺久信GM兼監督代行が11年前の名古屋入り前に見せた「闘将」の姿 敵地中日戦から再建へ
西武の渡辺久信ゼネラルマネジャー(GM=58)が休養となった松井稼頭央監督(48)の代行として28日の交流戦の開幕・中日戦(バンテリンドーム)から指揮を執る。ここまで15勝30敗。5位楽天と3.5ゲーム差の最下位に沈むチームの再建を誓い名古屋に向かうが、監督最終年だった11年前の5月も強い危機感を抱いて新幹線に乗り込んでいた。 ■休養が発表され球場を後にする松井監督【写真】 2013年5月24日。埼玉・所沢から名古屋への移動日だった。前日までの本拠地での広島2連戦は無死からの好機で送りバントミスが相次ぎ連敗。直近6試合で1勝5敗と苦しい局面の時期だった。移動前の本拠地での練習時。渡辺GM兼監督代行は肩をつくるとマウンドに上がった。バント練習の時だった。 「1日やったからといってどうというわけではないが、アクションを起こしたよ。俺が正規の所(18.44メートル)から投げることに意味がある」。球数は150球に迫った。右脚はつった。右手には大きなマメもできた。それでも鬼気迫る表情で大粒の汗を流しながら、打者10人に対して30分以上も投げ込んだ。変化球も交えた。 現役時代さながらの闘志を前面に押し出し、試合の重圧に近い環境をつくりだしていた。勝負どころの9月を見据え局面でも冷静にプレーできる「骨太」さの重要性を理解してほしかったからだった。闘志を注入された選手は、誰もが神妙な面持ちで名古屋に向かい翌日の試合は勝利。シーズンは苦しみながらも2位でレギュラーシーズンを終えた。 今回は当時をさらに上回る厳しい状況から、名古屋から11年ぶりにタクトを振る。26日にベルーナドームで報道陣の取材に応じた際には「寄り添うことも大切だが、時には厳しく言うこともやっぱり大切なんじゃないかなと。私自身も負けるのは嫌いな性格なんで。試合になれば気持ちが入るタイプなんで、それについてきてほしい」と語った。闘志を前面に押し出すスタイルは不変。11年前に名古屋に向かう前にナインに自ら体を張って示したように、チーム浮上に向けて厳しい姿勢と不退転の構えで挑む。(山田孝人)
西日本新聞社