<挑戦の春・’21センバツ専大松戸>第1部 軌跡/3 敗北ばねにチーム一丸 準決勝の落胆、励まし合い /千葉
専大松戸が「第73回秋季関東地区高校野球大会(関東大会)」への出場権をつかんだのは、2020年10月4日に行われた県大会の「第3代表決定戦」だった。 関東大会は、千葉、群馬、栃木、茨城、埼玉、山梨、神奈川の7県から各県の大会を勝ち抜いた15校が出場する。昨秋の関東大会は、開催県である千葉に3校、その他の県に2校の出場権が与えられた。千葉の第3代表決定戦は、準決勝で敗れた2チームが、関東大会への「最後の一枠」を争う試合だった。 ◇ ◇ 前日の準決勝は、チームにとって悔しい敗北だった。対戦相手は東京学館。試合は土壇場の九回表に大きく動いた。専大松戸の1点リードで迎えた東京学館の攻撃。1死二、三塁の場面で3番打者のスクイズが成功し、同点に追いつかれた。不意を突かれた失点にチームは冷静さを失い、悪送球などの失策でさらに3点を奪われた。 勝利まであと一歩のところで喫した逆転負けだった。 部員の間にショックが広がり、球場から練習グラウンドに戻るバスの中では誰も口を開かなかった。グラウンドに戻り、道具の片付けをしている間も沈黙が続いた。 その後、いつものように一塁側ブルペン近くでミーティングを始めた。石井詠己主将(2年)は落ち着いて部員たちに語りかけた。「気持ちを切り替えて、明日に臨もう」。失点を招いたエラーを気にして落胆している部員を、他の部員が励ました。希望は残っている。明日の第3代表決定戦に勝てば関東大会へ行ける。うつむいていた部員たちが前を向き、ミーティングが終わった。 ◇ ◇ 千葉英和と対戦した第3代表決定戦は序盤から好調だった。一回表、先頭打者の黒須堅心選手(1年)が相手のエラーで二塁に進むと、2番・大森駿太朗選手(同)がバントで三塁へ送った。3番・石井主将がレフトに放った犠牲フライで黒須選手が生還。この先制点で流れをつかんだ。 9―1と大きくリードして迎えた七回裏。1死一塁の場面でピッチャー前に飛んだゴロをダブルプレーで封じ、専大松戸はコールド勝ちした。 敗北をばねに、のびのびと力を発揮した選手たち。この試合で完投した岡本陸投手(2年)は「全員が絶対勝つという意識で一つになれた」と話した。持丸修一監督は「私もがっかりしていたが……」と前日の敗戦を振り返った後、表情を緩めた。「選手たちの方が前向きに切り替えていた」=つづく