「海藻由来の繊維」でアパレル業界に革命を起こすテック企業の挑戦
ロサンゼルスを拠点とするアパレルブランドのOUTERKNOWN(アウターノウン)は、海藻から生まれた繊維で作ったシャツの販売を開始した。同社は、この繊維を生み出したノースカロライナ州の企業のKeel Labs(キールラボ)と共同で「The Blanket Shirt」と呼ばれるアイテムをリリースした。 このシャツの素材の70%は再生有機コットン(ROC)で、30%がKelsun(ケルサン)と呼ばれる海藻由来の繊維だという。「サーファーが設立した企業である当社は、常に海を念頭に置いている。そのため、キールラボが生み出した海藻ベースの繊維を用いることはとても理にかなったことだ」と、アウターノウン共同創業者のジョン・ムーアは述べている。 世界のアパレル業界が毎年210億トンの繊維廃棄物を発生させる中、キールラボ共同創業者でCEOのテッサ・キャラガンは、同社が生み出したケルサンが、従来のコットンなどの資源集約型の素材に代わる選択肢になることを目指している。 「私たちは褐藻(ブラウンシーウィード)から取り出したアルギン酸を原料とした繊維を生み出しました。製造にあたっては、有毒化学物質を一切使わないという厳格なルールを設けており、最終的に100%の生分解性を持つ製品を送り出しています」とキャラガンは述べている。 キールラボは、この繊維の製造にあたって厳格な持続可能性ガイドラインに従って調達された海藻を用いている。これらの海藻は南米各地で収穫され、ノースカロライナで加工されている。 「海藻の大半は、養殖もしくは天然のものを採取する形で調達されます。しかし、私たちは海から根こそぎ引き抜くような方法で採取された海藻は使用しません。私たちに限らず、あらゆる産業は、環境に与えるインパクトを常に注視することを求められています」とキャラガンは述べている。 アウターノウンは、キールラボのケルサンをポルトガルの工場に送り、インドから供給される再生有機コットンと組み合わた生地を生産する。そして、染色や縫製などのプロセスを経て衣服に加工している。