パリ五輪「セーヌ川は汚濁していなかった」が…大会運営側の不備で選手が損害を負ったら主催者に責任を問える?
対応策は“保険”
運営上の不備で負傷等を被った場合、選手、そして監督やコーチ等のスタッフはどう対応すればいいのか。 日向弁護士は、「大きなレースでは、ほとんどの大会で参加条件として保険への加入が必須になっており、大会の参加費に傷害保険料が含まれていることが多いと思います」と指摘。 また、もし仮に、「運営上の不備が原因で、自身の保険ではカバーできない損害を被った場合、主催者に損害賠償請求を行う手段もある」とし、「写真や動画を撮ったり、目撃者を探すなどして、運営の不備に関する証拠等を確保することも必要になります」と 説明する。 近年の競技大会においては、運営側も徹底的に準備をしており事故が起こる可能性は限りなく低いが、それでもいつ何が起こるか分からない。 「競技大会やレースに参加するのであれば、参加条件ではなくとも、スポーツを対象とする傷害保険には加入しておいた方が良いでしょう」(日向弁護士) ■榎園哲哉(えのきぞの てつや) 1965年鹿児島県鹿児島市生まれ。私立大学を中退後、中央大学法学部通信教育課程を6年かけ卒業。東京タイムズ社、鹿児島新報社東京支社などでの勤務を経てフリーランスの編集記者・ライターとして独立。防衛ホーム新聞社(自衛隊専門紙発行)などで執筆、武道経験を生かし士道をテーマにした著書刊行も進めている。
榎園哲哉