残るは3球団? 絞られてきたマエケン争奪戦の行方
広島は9日、前田健太投手(27)のポスティングシステムの申請を行い、MLB機構を通じてメジャー全球団に通知された。正式にマエケン争奪戦がスタートしたが、今オフの異常とも言える大物FA選手の早期契約が影響を与え、当初、マエケンに興味を示していた球団の撤退情報を米国メディアが相次いで伝えている。 親日家のスチュワートGMがコメントを発し、最有力候補と見られていたダイアモンドバックスは、今オフのFAの目玉だった一人、ザック・グリンキーを6年総額2億650万ドル(約250億円)という単年ではメジャー最高年俸となる条件で獲得、地元メディアは「前田の可能性は薄くなった」と報道。ジャイアンツも5年総額9000万ドル(約108億円)でジェフ・サマージャを獲得したことで、地元紙「サンフランシスコ・クロニクル」が、「前田への入札は見送られるのでは」と報じて撤退ムード。もう一人の大物FA左腕、デビッド・プライスを7年総額2億1700万ドル(約261億円)で獲得したレッドソックスも、ボストンのラジオ局「WEEI」が、その電子版でマエケンからの撤退を報じた。カブス、レンジャーズも興味の段階から次へと進んでいない。どちらかと言えば消極的だ。 だが、逆の見方をすると、FA市場のめまぐるしい変化により、マエケンの移籍先が絞られてきたとも言える。 パドレス、ドジャース、マリナーズの3球団だ。パドレスは、かつてドジャースのオーナーだったピーター・オマリー氏の親族が経営参加して以来、日本市場の開拓に積極的で、すでに松田宣浩の獲得に動いているが、先発陣の立て直しも課題で、投打の日本人選手補強もあり得る。 ドジャースは、岩隈久志を獲得したが、潤沢な資金力をバックに続けてFAでの大型補強を考えていて、マエケン側からしても、黒田博樹がメジャーデビューした球団で、日本人選手が適応しやすい環境は魅力。また岩隈を引き止めることができなかったマリナーズも、その穴を埋める最有力候補にマエケンをリストアップしている。 前田サイドは、生活基盤も含めて西海岸のチームを希望していると言われているため、この3球団はその思惑と合致する。ただ、不気味な沈黙を守っているヤンキースが動き出せば、現在、ポスティングの24億円を含めて、100億円前後とされているマエケンの相場が一気に跳ね上がり、停滞気味となった争奪戦が再びヒートアップする可能性も残されている。いずれにしろ、早い者勝ち傾向が強い今オフの異常なFA市場の動きを見据えれば、マエケンの決着には、そう時間がかからないのかもしれない。