「最後の最後、ワガママを言います」 早大・小宮山悟監督の徳武定祐さんへの弔辞
徳武さんがいつも強調していたこと
3分18秒。故人との関係性の深さが分かる弔辞だった。その後、葬儀委員長を務めた岡村猛氏が喪主に代わり、あいさつした。岡村氏は現在、東京六大学野球連盟の理事で、11年から14年まで早大の第18代監督を務めた。一部を抜粋する。故人とのエピソードを明かす上で、現役部員にも通じる学びがあった。 「故人は家族を愛し、愛情を注ぐ一方で、野球に対して、ほとばしるような熱い情熱を傾けました。故人より教えていただいた言葉が、走馬灯のように思い出されます」 徳武さんはいつも、強調していたことがある。 「早稲田大学野球部は、強くなければならない。しかし、強ければいいというものではない。早稲田は野球界のど真ん中で心柱となり、気品、品格のあるチームでなければならない。このような教えの一つひとつ、いやすべてが早稲田野球の神髄でございました。今後はこの故人の遺志を小宮山監督が引き継ぎ、強い早稲田、品格のある早稲田をつくってまいります。皆様には『小宮山・早稲田』への格別のご支援を、心より、お願い申し上げます」 心にグッと響く故人の言葉から、学生たちは何を感じるのか。早稲田大学野球部は1901年創部。諸先輩が築き上げてきた伝統と歴史を重く受け止め、神宮球場で初代監督・飛田穂洲氏の教え「一球入魂」を貫くだけである。 文=岡本朋祐
週刊ベースボール