経済格差広がる日本で“良い転機”をつかむには?エコノミスト視点で語るキャリア戦略
物価上昇や円安、紛争による社会への影響…日本や世界の経済動向は、私たちの仕事や働き方にどんな影響を及ぼすのでしょうか。その中で、若手ビジネスパーソンがキャリアの“良い転機”をつかむために必要な視点とは? エコノミスト視点 “停滞日本”で勝つための若手キャリア戦略 気鋭のエコノミスト・崔真淑さんに、経済学の視点から見た若手ビジネスパーソンのキャリア戦略について、話をうかがいました。
---------- 仕事人生のチャンスはいつ来る? 若手キャリアの転機予報 ──このキャリアシフトや分野は晴れ? 曇り? それとも大雨? 「キャリアの良い転機」をつかむために、各界のプロが雲行きを見通してアドバイス、各界の“転機予報”を参考に、現状から一歩踏み出すヒントをお届けします。 ----------
========== エコノミスト視点の転機予報 ・企業や個人間での格差は広がり続ける ・「何ができるか」「何を学んできたか」の証明が必須に ・好きなことでオンリーワンを目指そう 崔 真淑 エコノミスト(MBA in Finance)。一橋大学大学院博士後期課程在籍。専門はコーポレートガバナンス、ファイナンス。東証グロースカオナビ社外取締役。日経CNBC経済解説委員会コメンテーター、昭和女子大研究員 ==========
円安やAIの進化で、日本の企業や個人間格差が広がり続ける
──まずは、この1年の日本経済の大きな動きについて教えてください。 崔:マクロな視点では、やはり「円安」がキーワードです。円安というとマイナスのイメージが強いかもしれませんが、トヨタなど製造業の輸出企業は、海外市場の好調を背景に業績を伸ばしていますし、2022年度の国の税収は初めて70兆円を超えました。 つまりグローバルにビジネスを展開する企業と、日本国内の需要に頼っている企業との間で、収入格差が浮き彫りになってきたということです。 もう一つ、ChatGPTを始めとした生成AIの活用が広がったことも、日本経済にとっては大きな転機になるでしょう。AI技術を活用し、創造的な仕事をする職種と、AIによって代替される職種の間で、賃金格差が生まれてくるのではないでしょうか。 例えば米Amazonでは、博士号を持つ技術職など専門性の高い従業員の基本給を大幅に引き上げる一方で、配達員や物流倉庫で働く従業員たちが賃上げを求めて労働組合を結成するなど、同じ企業内でも職種による賃金格差が生じています。