平成ドラマ史上最高の男性キャラは? 平成女子を虜にした男(5)「やりたくなかった」と告白も…天性のはまり役
平成のドラマには、独特の匂いがあった。明るくてヤンチャな男の子たちは、まさに“平成”という時代そのものを体現している。茶色い髪や着崩した制服、独特の言葉遣いは今やちょっとした憧れの的。軽薄でベタなストーリーも醍醐味だった。というわけで今回は、平成女子たちをメロメロにしたドラマの男性キャラを紹介。第5回。(文・野原まりこ)
小栗旬『花より男子』(TBS系、2005)
原作:神尾葉子 脚本:サタケミキオ、藤本有紀、高橋ナツコ 出演:井上真央、松本潤、小栗旬、松田翔太、阿部力、西原亜希、加藤貴子、石野真子、小林すすむ、デビット伊東、松嶋菜々子、加賀まりこ 【作品内容】 一般庶民の牧野つくし(井上真央)は、裕福な生徒が多い英徳学園に入学。学園を取り仕切る大金持ちの美男子4人組「F4」に目をつけられ、全校生徒からいじめのターゲットにされる。 しかし、いじめをものともしないつくしは、彼らに反発。次第に「F4」のリーダー・道明寺司(松本潤)に気に入られはじめる。 【注目ポイント】 道明寺派か、花沢類派か―。この派閥争いは、平成女子にとって喫緊の問題だった。聞くところによると、この争いは漫画原作者の神尾葉子氏のアシスタントの間でも繰り広げられたというから、相当のものだったことがうかがい知れる。 しかし今回は道明寺ではなく、あえて花沢類を集中的に論じてみたい。 花沢類の魅力。それは、なんといっても、強引な恋の駆け引きだろう。物語は、中盤以降、牧野と道明寺のラブストーリーを中心に進むが、2人の恋にはさまざまなハードルが立ちはだかる。そんな中、花沢が牧野に、「内緒で付き合おうか」とつぶやくのだ。この花沢のセリフに、一撃ノックアウト、花沢派に鞍替えした道明寺派も少なくないのではないか。 また、2007年放送の『花より男子2』では、記憶喪失になった道明寺と牧野の前に、2人の恋路の邪魔をする中島海(戸田恵梨香)が登場。西門(松田翔太)や美作(阿部力)が鼻の下を伸ばす中、花沢だけは海の本質を見抜き、「俺、嫌い」と言ってのける。 ひたすらに牧野の幸せを願い、いつも味方でいてくれる花沢。そんな彼をよそに、牧野がなぜ頑なに道明寺にこだわるのかはもはや謎だが、この三角関係こそ、平成女子たちを虜にした本作最大の魅力であることは言うまでもない。 なお、花沢役の小栗旬は、道明寺役の松本潤と人気を二分し、スター街道をひた走っていたにも関わらず、自身のアイドル的人気に違和感を覚えており、「こんな役やりたくなかった」のだという。 金や名声、女子の声に興味を示さず、我が道を行く花沢。そのつかみどころのなさに、小栗の姿が重なるのはやぶさかではないかもしれない。 (文・野原まりこ)
野原まりこ