今年もインディ500参戦の佐藤琢磨がHRCのエクゼクティブ・アドバイザーに就任 最近は自動車メーカーで「役職拝命」がトレンド
インディカーに参戦する元F1ドライバーの佐藤琢磨が、ホンダのモータースポーツ活動を統括するホンダ・レーシング(HRC)のエクゼクティブ・アドバイザーに就任した。19日にHRCが開いたリモート形式の記者会見で発表した。アドバイザリー契約を結んで、ホンダとHRCの四輪レース活動に対して助言やサポートを行っていく。 今季は世界3大レースに数えられるインディ500(5月26日決勝)にホンダ系チームの古巣レイホール・レターマン・ラニガン・レーシングから出場することも決まり、ホンダ・レーシング・スクール鈴鹿(HRS、旧鈴鹿サーキットレーシングスクール)のプリンシパル(校長)も継続。HRCのエクゼクティブ・アドバイザーと合わせて三足のわらじを履くことになる。 琢磨は「私が培ってきた技術と経験を後進に伝えていくことに加え、自分も”No Attack, No Chance”の気持ちを忘れることなく、チャレンジャーとしてホンダ/HRCとともに新たな挑戦を続け、さらなるホンダモータースポーツの発展に貢献できるよう努めてまいります」などとコメント。 HRCの渡辺康治社長は「これまでもHRSのプリンシパルとして若手ドライバーの育成に大きく貢献していただいておりました。今後はHRCのエグゼクティブ・アドバイザーとしてさらに活動の幅を広げ、ホンダのモータースポーツ活動を多角的にサポートしていただけることを心強く思います」と期待を込めた。 かつての名選手はオーナーチームを結成して自立型のモータースポーツ活動をすることがほとんどだった。高橋国光、長谷見昌弘、星野一義、中嶋悟、鈴木亜久里、片山右京らがそうだ。ところが最近は自動車メーカーのモータースポーツ部門で役職に就くケースが増えた。トヨタでも元F1の中嶋一貴が欧州法人トヨタ・ガズー・レーシング・ヨーロッパの副会長に就任。小林可夢偉も世界耐久選手権(WEC)のドライバーをしながらトヨタのWECチームの代表に起用された。 モータースポーツ関係者も「2000年ごろを境にトレンドが変わった。かつては引退後に自身のチームを旗揚げする流れがあったが、ミカ・ハッキネンやミハエル・シューマッハーあたりからそれに興味がない選手が増えたのではないか」と指摘した。メーカー主導のワークスチームを軸とするビジネススタイルが確立されたことも大きいようだ。 ホンダは2022年に、それまで二輪活動を専門にしていたHRCを四輪モータースポーツも担う統括会社に再編したが、その時から琢磨を何らかのポストに起用して活動を強化したかったという。F1時代を含めて「ホンダ愛」を貫き続ける琢磨にとっても願ったりかなったりの選択といえそうだ。 [文/構成:ココカラネクスト編集部]