「闇バイトダメ」人生守る教材 静大研究室開発「まず疑う姿勢を」
特殊詐欺などに「闇バイト」で関与する少年が後を絶たない中、安易な気持ちで手を染める恐ろしさを自分事として認識するための教材を、静岡大教育学部の研究室が静岡県警人身安全少年課の監修の下で開発した。両面1枚のワークシートは短時間で記入でき、研究室ホームページから無料でダウンロード可。静岡県警の非行防止教室に加え、大学や高校、中学校など幅広い授業内で有効活用してもらう。 「『何を』するかによっては、『好きな人』とか信用する人であっても(バイトを誘ってきた)相手を疑う姿勢を持ってほしい」 16日、静岡市葵区の静岡中央高・通信制課程校中央キャンパス。シートの設問「闇バイトを『まあやってもいいかな』と思うのはどんな場合」に生徒約50人が記入し終えると、教諭が他生徒の回答傾向も踏まえ、改めて注意を促した。 シートには「いつだれに相談するかな」の設問も。教諭は「匿名アプリの使用を促された段階で怪しいよね。闇バイト以外の案件でもまずは教員や家族に相談してほしい」と呼びかけた。 通信制高校での公開授業は、静岡県警が2020年から連絡会を通じて連携や情報共有を進める中で実現。人身安全少年課の尾藤厚至警部は、組織の報復を懸念して警察への相談をためらわないよう求めて「全国に約30万人いる警察官が皆さんを守る。何よりも自分の人生を大切に」と強調した。 生徒の1人、鈴木結衣さん(17)は「改めて闇バイトの危険性を身近に感じ、有意義だった」と捉えた。 開発したのは塩田真吾准教授(42)で、自分事化を狙った22年の「自画撮りトラブルから身を守ろう」、23年の「楽しく安全に休みを過ごすために」に次ぐ第3弾。「子どもたちは『やってはダメ』と言われても『自分は絶対にしない』と受け止めてしまう。『場面強制想像法』を用いた各教材を通じて自覚を促し、相談するスキルも身に付けてもらえたら」と願う。
静岡新聞社