<平昌五輪>羽生が66年ぶりの連続金メダルを獲得「右足が頑張ってくれた」
平昌五輪のフィギュアスケート男子フリースケーティングが17日、現地で行われ、ショートプログラムトップだった羽生結弦(23、ANA)がフリーで206.17点、計317.85点で2大会続けての金メダルを獲得した。五輪連覇は66年ぶりの快挙。銀メダルは202.73点、計306.90点の宇野昌磨(20、トヨタ自動車)。日本勢のワンツーフィニッシュは史上初。同国選手が2人表彰台に上るのはロシア勢が1、2位となった2002年のソルトレイク五輪以来となる。銅メダルはハビエル・フェルナンデス(26、スペイン)。羽生は出場が危ぶまれるほどだった右足首靭帯損傷の怪我を乗り越えて奇跡の金メダルを手にした。 江陵アイスアリーナを大歓声が包む。そして静寂。 映画「陰陽師」から「SEIMEI」の笛の音が鳴り響く中、冒頭の4回転サルコーを決め、続く4回転トゥループも美しい着氷でリズムをつかむ。怪我の影響からスタミナが心配された後半。最初の4回転サルコー+3回転トゥループの連続ジャンプに成功した。だが、4本目の4回転ジャンプとなる4回転トゥループは、2回転トゥループをつける連続ジャンプにしなければならなかったが、バランスを崩して単発になってしまった。 減点対象となったが、動揺はない。これが五輪ディフェンディングチャンピオンの強みなのだろう。 続く3回転アクセルからの3連続ジャンプを冷静に成功させた。最後のジャンプとなる3回転ルッツもランディングで氷に手をつきかけるが、なんとかこらえた。 演技を終えると羽生は右手を2回突き上げて「やったー」と叫ぶ。精魂尽き果てた羽生は、しばらく下をむいたまま。そして怪我をした右足首をいたわるように触った。 ミスはあったが得点は206.17点。計317.85点が表示されると、羽生は右手がガッツポーズを作った。この時点で、金博洋(20、中国)を抜き暫定首位。メダルを確定させて、あとはフェルナンデス、宇野の2人の演技を待つだけとなった。 続くフェルナンデスは、後半のジャンプの失敗が響き、197.66点。計305、24点と伸びない。 最終滑走となった宇野は、冒頭の4回転ループて転倒した。「1位になるとしたら本当に完璧な演技をしたら。だから一個目のループを失敗した時点で笑えてきました」。冷静に続く4回転フリップは成功させて立て直し、後半に4回転トゥループも決め、最後の3回転サルコー+3回転トゥループの連続ジャンプも綺麗に着氷した。初の五輪で素晴らしい演技だった。だが、羽生の数字を越えることができない。その瞬間、羽生は号泣した。 日の丸をまとった表彰式が終わってから羽生への代表インタビューが行われた。 ーー乗り越えましたね。 「なんとか」 ーー今、どんな気持ちですか。 「たくさんの方々がサポートしてくださって、なんとか……まずは、滑ることができたんで。この会場で滑ることができて、ほっとているのと、自分でやりきれたと思うほどの演技ができたことが良かったんじゃないかなと思います」 ーー演技終了後にほえました。 「右足が頑張ってくれたなあと思いました。怪我のせいで練習ができなかったところとか、たくさんの方に心配をかけたと思います。(だから)今まで以上の強い応援、サポートがあったと思います。そういうものに恵まれたと思います」。 ーー競技後、右足を押さえていたのは、痛みですか? 「感謝の気持ちだけです」 ーーこの姿はイメージできていましたか。 「構成が定かでなくて、“構成どうですか?”と、ずっと質問されたが、自分自身も、どうすればベストかが、わかんなくて、色々悩んでいました。だからこそ、ちょっとフリーはイメージしにくかった。でも、最終的に、こうして集中して跳びたかったジャンプは跳べているので、とにかく良かったと思います。ルッツをこらえた? 右足に感謝しかないです」 ーー最後にファンの方々へのメッセージを。 「ここまでくるのに、たくさんの方々に支えられながら生きてきました。スケートだけでなく、こうして羽生結弦として、たくさんの方々に育てていただいたことを感謝します。ありがとうございました」 羽生はすべてをやりとげた金メダリストらしいさわやかな笑顔だった。