40歳で年収400万円、将来の年金額は「月13万円」の見込みです。年金をもう少し増やしたいのですが、長く働くべきでしょうか…?
30代、40代になると、将来受け取る年金の額が気になってきます。定年の引き上げや、定年制度そのものの廃止など、高齢になっても働くための環境整備が進んでいますが、現役世代が実際に受け取る年金の額はどの程度なのでしょうか。仮に受給額が少ない場合、これから受け取る年金を増やす策はあるのでしょうか。 本記事では、年金制度の仕組みを改めて整理しながら、会社員がより多く年金を受け取るためにすべきことを解説します。
年金額を増やすには給与を上げるか、働く期間を延ばす
まず、会社員に絞って年金制度の仕組みを解説します。 会社員の場合、公的な年金は主に国民年金(基礎年金)と厚生年金の2種類です(図表1)。これに確定拠出年金などの私的年金が追加されることもありますが、本記事では公的年金に焦点を当てます。 図表1
厚生労働省 [年金制度の仕組みと考え方]第3 公的年金制度の体系(被保険者、保険料) 国民年金に関しては、480ヶ月(40年間)分を納付すれば満額を受給できる計算となります。480ヶ月に満たない場合は、納付した月数に応じた額を受給します。 一方、厚生年金は給与額と働いた期間によって変わります。厚生年金の受給額は以下のように計算されます。以下の式は簡略化していますが、厳密には被保険者であった期間や給付乗率などによって計算が変わるので注意してください。 厚生年金(報酬比例部分)=平均標準報酬額×給付乗率×被保険者月数 この厚生年金の計算式を見ると、同じ給付乗率で計算した場合、働く期間(非保険者月数)が長いほど厚生年金額が大きくなることが分かります。 例えば40年間、年収が400万円(平均標準報酬額は約33万円)で、給付乗率が現在の5.481のまま変化しないと仮定します。この前提で、60歳まで40年間(480ヶ月)働いた場合と、65歳まで45年間(540ヶ月)働いた場合では、将来的な年金受給額に年間約12万円の違いが生じます。 例)働く期間によっての厚生年金額の違い 【60歳まで働いた場合】 33万円×5.481/1000×480=86万円 30万円×5.481/1000×480=78万円 【65歳まで働いた場合】 33万円×5.481/1000×540=98万円 30万円×5.481/1000×540=88万円 ※上記の給付乗率は昭和21年4月2日以降の生まれで、平成15年4月以降の被保険者期間に利用する給付乗率で一律計算 つまり、老齢厚生年金の額を増やすには、給与(平均標準報酬額)を増やすか、長く働くかになりますが、給与を増やすのは自分の意思だけでは難しいため、現実的には働く期間を延ばす選択肢が有効となります。