〈レポート〉流通総額12億円!マンガとアニメのすべてが集結する台湾の一大イベント「台北國際動漫節」盛り上がりを現地取材でお届け
海外イベントならではの光景が多数
イベントとしては「アニメーションフェスティバル」との名前にはなっているが、全体としてAnimeJapanのような展示中心のイベントではなく、出展者による物販がメインで、コミケの企業ブースが感覚としてかなり近い。 台湾において、日本で人気のアニメやマンガは日本国内の出版社が直接翻訳を行うのではなく、台湾現地の出版社経由で繁体字版として流通している背景が存在する。イベントではこれら大手「青文出版」「東販出版」「尖端出版」をはじめとする複数の出版社が大規模なブースを構えており、それぞれのブースでは“本屋”を彷彿とさせる設計に。 価格は日本販売価格の1.2~5倍程度であるものの、直近に発売したばかりのマンガやラノベの最新刊が用意されていたことから、来場者の中には手で抱えきれないほどの新刊を手にする人も。そして、最大手とも言える青文出版社のブースは会場外に長い待機列を形成されており、この光景はなかなか国内イベントでは見ることのできないものになっていた。 出版社以外で最も注目を集めていたのは「メディアリンク」と呼ばれる現地企業。『SPY FAMILY』や『【推しの子】』といった、日本でも大人気のコンテンツに関連するライセンシングやグッズの越境販売を手掛けており、ブースではイラストや版権の展示を中心に実施。会場の余剰スペースで待機を促すほど、多くの人々で溢れかえったていた。
日本企業が多数出展、好評を博す
もちろん人気なのは現地企業だけでない。日本企業の出展ブースも大いに賑わっており、会場中心に設営された「JUMP:Assemble(ジャンプ:アセンブル)」エリア(※)では展示に加え、限定コラボカフェや特設ステージまでもが用意。ステージイベントが開催されている時間帯はその場から動けないほどの注目を集めていた。 ※DeNAが2024年に繁体字版をリリースする「少年ジャンプ」シリーズのスマートフォンゲーム そして、日本のアニメイベントと大きく異なる点として「アニメスタジオ」の出展が積極的であることが挙げられ、今回のTiCAではブース出展に「旭プロダクション」と「Production I.G.」が、ステージ出展ではIGポート傘下の「WIT STUDIO」が参加。 特に、現在放送中のTVアニメ『魔法少女にあこがれて』を制作する旭プロダクションは担当者が「初出展ながらも現在放送中の作品も展示することで、より興味を持ってもらえるようにした」と話していた。 ブースはアニメ作品の設定資料や模擬原画の展示が中心に行われており、一方のステージでは人気漫画家の来台による「サイン会」や声優による「握手会」といった来場者参加型のステージも多いほか、『転生したらスライムだった件』等のアニメ作品より制作陣が登壇する「」タッフトークショー」が展開。声優がメインの日本のアニメイベントとは一線を画すキャスティングは遠方地という点に加え、新鮮味のある情報を伝えることに重きをおいている意向がうかがえる。 なお、アニメスタジオのような現地法人を持たない日本企業は「日本館(Japan Pavilion)」と呼ばれるエリアに集結しており、現地の出版社による人員や資材の手配協力が得られ、海外誘致を促進する狙いも見受けられた。