戒厳事態の渦中に労組は無期限スト予告…気をもむ韓国産業界
世界的な景気低迷、米国の第2次トランプ政権発足などで不確実性が大きくなる中で韓国の政治状況まで加わり韓国の自動車や鉄鋼など産業界はパニックになった。 自動車業界によると、現代(ヒョンデ)自動車、起亜(キア)、韓国GM、部品業界などは労組が尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領退陣を要求し5日から散発的に行っていた部分ストが拡大するかに神経を尖らせている。金属労組は11日から無期限全面ストを予告した状況だ。金属労組は声明を通じ「弾劾否決にともなう細部闘争計画を10日の中央執行委員会で議論する」と明らかにした。 労働界は労組の要求が労働条件向上など基本的な目的に合致せず、労働委員会の調停や組合員投票などの手順を踏んでいないだけに違法と結論が出る可能性が大きいものとみる。違法性の有無と関係なくストが拡散するならば生産への影響と労使関係悪化などは避けられない状況だ。韓国GMは今年の賃金団体交渉長期化で約4万台の生産に影響が出た。 対外環境も良くない。最も問題なのは現代・起亜自動車の23.3%が販売される米国市場だ。トランプ次期大統領が関税政策とインフレ抑制法修正などを予告した状況で業界と政府が足並みをそろえ全方向で協議に入らなくてはならないが、今回の事態で交渉力低下が懸念される。 現代自動車は最近米国市場強化に向け北米圏域本部長を務めてきたホセ・ムニョス最高執行責任者(COO)を最高経営責任者(CEO)に、ソン・キム元駐韓米国大使をグループのシンクタンクを指揮するポスト(社長)にそれぞれ内定した。また、米国東西に分かれていた販売事業総括を統合し、米国法人の全国販売トップにマイケル・オレンジ副社長を内定した。現代自動車は「米国販売組織を簡素化すれば現代自動車の未来成長と効率性を高めることにつながるだろう」と明らかにした。 現代自動車グループは来週海外圏域本部長会議を開いて米国など地域別事業計画を議論する予定だ。鄭義宣(チョン・ウィソン)現代自動車グループ会長、張在勲(チャン・ジェフン)現代自動車社長、ホセ・ムニョスCOOら核心経営陣が参加する。第2次トランプ政権の政策変化関連対応策を立て、世界市場戦略と為替相場の影響などを多角的に点検する見通しだ。 ドル高基調も産業界の悩みだ。トランプ氏当選後にウォン安ドル高が進んだが、韓国市場の不確実性が大きくなり外国為替市場がさらに揺れているからだ。ポスコや現代製鉄など鉄鋼業界は鉄鉱石や燃料炭など原材料輸入コストが増加するため為替相場変化に敏感に反応する。最近の世界的鉄鋼供給過剰、中国の低価格攻勢などで原材料価格上昇を製品価格に反映するのも難しい状況だ。 航空機の相当数をリースして使う航空業界も同様だ。ほとんどの航空会社はリース料など固定費用をドルで支払い、運航に使われる燃料費も為替相場の影響を受ける。大韓航空とアシアナ航空の統合を控えた状況でドル高による経営への悪影響も懸念される。 代表的なドル高恩恵業種に分類される自動車、造船、海運業界も安心だけできる状況ではない。韓国自動車モビリティ産業協会(KAMA)はウォン安が10ウォン進むと韓国の自動車業界の売り上げが約4000億ウォン上がると試算した。造船・海運業界は一時的に収益性が改善されるとみられるが、むしろ取引が冷え込む可能性もある。中国企業との競争が激しくなる状況で国の信用度下落が受注にも影響を及ぼすか懸念する表情だ。