殺さないでくれ…逃げる男性を何十回も殴った強盗団「アドレナリンが出た」 玄関を開け襲撃された男性は「ぞっとした」 襲った無職22歳、判決へ 仲介役は唯一の友人、実家が隣同士「絡んだことが人生の汚点」
2022年に埼玉県、茨城県で6件の強盗や窃盗事件を繰り返したとして、強盗致傷などの罪に問われた無職の男(22)=茨城県日立市=の裁判員裁判の判決が27日、さいたま地裁で言い渡される。公判では、証人として出廷した共犯者らから「頼りない」と評される男が事件に勧誘された経緯や、実行犯として果たした役割が明らかになった。男は起訴内容を認め、「二度と関わらない」と供述しており、裁判員らが下す量刑が焦点となる。 暴力団と不良グループが乱闘…バットを持って待ち構える不良グループ、暴力団が現れると車ではね飛ばす
検察側は「昨今、社会問題化している強盗事件について警鐘を鳴らす必要がある」と懲役17年を求刑。一方、弁護側は男が「末端の中の末端」だとして、懲役8年が相当と主張した。男は伸びた髪を一つに結び、緊張した様子で出廷し「自分が身勝手で浅はかでした」と謝罪の言葉を口にした。 公判によると、男はアルバイト先の飲食店の同僚の男=当時(19)=から「稼げる仕事がある。やるなら内容を教える」と勧誘された。犯罪と分かり拒否したものの、「『ケツ』を取らされるかも」と経済的、身体的な制裁をほのめかされた。男はその後、他の同僚も勧誘。以前の勤務先の先輩だった指示役の男(26)と実行役を仲介する役割を担ったとみられる。 19歳の男が証人尋問で「頼りないが面白い人」と話すなど、実行役の人間関係の中で、男は年下の共犯者らより低い立場だったとみられる。22年10月の茨城県坂東市の強盗事件では、指示役から「現金を裸で置いている」と情報を得た住宅に侵入。男が物音を聞き逃げ出し、実行役4人全員が車に戻った。その後、再度侵入するが、男は車に一人で残され、報酬も4人の中で最も少なかったという。
実行役らは家の外に逃げる被害者の男性を追いかけ、別の実行役の男=逮捕当時(17)=が「上半身を何十発か殴った」。その後、男性に金品を要求したとし、男は「アドレナリンが出た。お金のことを聞いているのに、ずっと『殺さないでくれ』と言っていた」と振り返った。検察側が読み上げた調書で、被害男性は、強盗による恐怖とともに、「(暴行による)痛みが引くまで農業の仕事が再開できず、栽培したネギが出荷できなかった」と経済的な損害も訴えた。 男は22年11月の川口市の強盗事件で、住宅に保管されていた現金約500万円を見つけるなど、主体的に関わった様子もある。被告人質問で、実家が隣同士だった仲介役の男の他に「友達がいなかった」とし、「絡んだことが人生の汚点だった。二度と関わらない」と語った。 ■抵抗したら殺されたかも(以下、論告求刑公判記事) 2022年に埼玉県、茨城県で6件の強盗や窃盗事件を起こしたとして、住居侵入、強盗致傷などの罪に問われた茨城県日立市、無職の男(22)の裁判員裁判の論告求刑公判が21日、さいたま地裁(小池健治裁判長)で開かれた。検察側は懲役17年を求刑し、弁護側は懲役8年が相当と主張して結審した。判決は27日に言い渡される。