『デッドプール&ウルヴァリン』が北米No. 1に返り咲き!驚異のねばりで5週目末成績は『エンドゲーム』以上に
活気あふれるサマーシーズンも、終盤になってくると急激に落ち着いてくるのは例年通りの傾向だ。先週末(8月23日から8月25日)の北米興収ランキングは、約3か月ぶりに全体の興行収入が1億ドルを割り込み、週末3日間で2000万ドルに届かない興収でもトップに立てる状態に。それが功を奏したのか、『デッドプール&ウルヴァリン』(日本公開中)が2週ぶりに首位に返り咲く結果となった。 【写真を見る】あの死亡事故から31年…『ザ・クロウ/飛翔伝説』のリブートがついに北米公開 公開5週目に首位に立つこと自体、限定公開から拡大公開へと切り替えた作品を除けば早々あることではない。近年ではちょうど同じマーベル作品である『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』(21)がV4の後、5週目で首位を陥落し、その翌週に返り咲いた例があるが、その返り咲き時の興収は1400万ドル。ある程度の興収を維持できるポテンシャル以上に、相手関係が味方してはじめて起こりうるパターンといえよう。 そんな『デッドプール&ウルヴァリン』の週末3日間興収は1831万ドルと、前週比69%。なにかと比較対象にせざるを得ない『インサイド・ヘッド2』(日本公開中)の5週目末の興収は1996万ドルだったので、数字ではそれを下回っているが、同作の当該週の順位は3位。やはり先述の通り相手関係が重要であることがよくわかる。それでも『D&W』のこの興収は、歴代マーベル作品の5週目末興収では『ブラックパンサー』(18)と『アベンジャーズ』(12)、そして『スパイダーマン:NWH』に次ぐ4位。あの『アベンジャーズ/エンドゲーム』(19)以上と考えれば、かなり立派なものだ。 前週首位デビューを果たした『エイリアン:ロムルス』(9月6日日本公開)は、週末3日間で興収1636万ドルと、前週比は39%。やや大きめのドロップとなったが、前作『エイリアン:コヴェナント』(17)の2週目末成績は公開初週末のわずか29%だったので、それに比べると改善がみられる。その要因となっているのはラージ・フォーマットでの上映が前作よりも好調なこと。北米だけでもラージ・フォーマット上映の興収はすでに1000万ドルを突破しており、すでに2億ドルを突破している全世界興収のうち3120万ドルがIMAXによるもの。『プロメテウス』(12)の全世界IMAX興収3180万ドルを抜き去ることはほぼ確定的だ。 ところで、3位のブレイク・ライブリー主演『It Ends with Us』と4位に初登場を果たしたチャニング・テイタム主演の『Blink Twice』と、『D&W』のカメオ出演陣の主演作が上位に軒並みランクインしているのは興味深いところ。その『Blink Twice』はゾーイ・クラヴィッツの監督デビュー作でもあり、初日から3日間で興収730万ドルと、同じテイタム主演で興行的苦戦を強いられた『フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン』のオープニングを下回る出足に。最も製作費は同作の5分の1。今作のダメージは限りなく小さいだろう。 そして、ブルース・リーの息子ブランドン・リーが撮影中に亡くなったことで知られる『クロウ/飛翔伝説』(94)を、ビル・スカルスガルド主演でリブートした『The Crow』は、初日から3日間で興収わずか464万ドルというスタート。企画の発足まで遡れば実に15年以上。キャストも監督も二転三転し、ようやく実現に漕ぎ着けた悲願のプロジェクトではあるが、批評面も案の定かなり厳しい声ばかり。オリジナル版で監督を務めたアレックス・プロヤスに至っては鑑賞すること自体を拒否しているのだとか。 文/久保田 和馬