「なぜ人は陰謀論を信じてしまうのか」池井戸潤が『民王 シベリアの陰謀』で現実とリンクするテーマに挑んだわけ[文庫ベストセラー]
6月4日トーハンの週間ベストセラーが発表され、文庫第1位は『白鳥とコウモリ(上)』が獲得した。 第2位は『白鳥とコウモリ(下)』。第3位は『鬼の花嫁 新婚編四~もうひとりの鬼~』となった。 4位以下で注目は6位にランクインした『民王 シベリアの陰謀』。池井戸潤さんが2010年に発表した小説『民王』(ポプラ社 文庫本はKADOKAWA)の続編。前作は内閣総理大臣の父と大学生の息子が繰り広げる笑撃の政治コメディサスペンス。2015年には実写ドラマ化され、遠藤憲一さんと菅田将暉さんが主役を演じた。今作も秘密を抱えた二人が「ウイルス」「陰謀論」がはびこる異常な世の中で奮闘する。現実の世界に蔓延する問題を下敷きにしつつ、池井戸流の痛快エンターテイメント作品に仕上げている。 池井戸さんは刊行記念のインタビューでこの小説を書く動機になったのは「陰謀論」だと明かし、その理由を《ここ数年、トランプ政権末期のQアノンをはじめとして、陰謀論が世界中で猛威を振るっていますよね。年明けにアメリカの連邦議会議事堂にデモ隊が乱入する事件が起こったときは、本当に衝撃を受けました。あの人たちは、選挙は不正だったと本気で信じているわけでしょう? その後、アメリカだけでなく日本でもさまざまな陰謀論が流布し始めて、しかも学者や財界人など、学があって社会的立場の高い人までがそれを広めている。遊びでやっているのかと思っていたら、どうやら本気で信じているらしいということが見えてきて、「なぜ人は陰謀論を信じてしまうのか」ということが、自分の中で大きな疑問として湧き上がりました。》と語っている。
1位『白鳥とコウモリ(上)』東野圭吾[著](幻冬舎) 新たなる最高傑作、待望の文庫化! 二〇一七年、東京竹芝で善良な弁護士、白石健介の遺体が発見された。捜査線上に浮かんだ倉木達郎は、一九八四年に愛知で起きた金融業者殺害事件と繋がりがある人物だった。そんな中、突然倉木が二つの事件の犯人と自供。事件は解決したと思えたが。「あなたのお父さんは嘘をついています」。被害者の娘と加害者の息子は、互いの父の言動に違和感を抱く。(幻冬舎ウェブサイトより) 2位『白鳥とコウモリ(下)』東野圭吾[著](幻冬舎) 新たなる最高傑作、待望の文庫化! 父の死に疑問を持つ美令と父の自供に納得できない和真。事件の蚊帳の外の二人は父の真実を調べるため、捜査一課の五代の知恵を借り禁断の逢瀬を重ねる。過去と現在、東京と愛知、健介と達郎を繋ぐものは何か。やがて美令と和真は、ふたり愛知へ向かうが、待ち受けていた真実は――。光と影、昼と夜。果たして彼等は手を繋いで、同じ空を飛べるのか。(幻冬舎ウェブサイトより)