【スクープ】世耕弘成氏、自らが理事長を務める近畿大学で公益通報されていた 教職員組合が「大学を自身の政治活動に利用、私物化している」と告発
しかし、近大側は反応を見せないのだという。藤巻氏が語る。 「近大では、監査室法人倫理推進課という部署が公益通報の申し立て窓口になっていますが、まともに機能していません。過去にも管理職の非違行為、ハラスメントなどが何件も通報されていますが、大学側は動こうとしない。だから今回は公益通報と同時に、組合の団体交渉でも世耕氏のXポストの件、大学の政治利用について回答するように要求しています」 藤巻氏が危機感を募らせるのは、世耕氏による大学の政治利用をめぐって組合に数々の投書が寄せられているからだ。 その内容は〈(大学に)和歌山出身が職員に多いのは、選挙の時に手伝う事が暗黙の決まり〉〈(大学職員で)和歌山出身者は一週間程度有給をとり、理事長選挙事務所に詰める〉(各投書は要約)などで、藤巻氏は「組合はこうした投書に書かれていることについて度々、大学側に実態調査を求めてきました。しかし、『把握していません』の一点張りなのです」と語る。 「世耕氏が裏金問題の渦中にいた時、私は有志とともに理事長辞任を求め、オンライン署名を募った。署名は5万筆以上集まりましたが、大学側は受け取りを拒否しました。 世耕氏に逆らえる職員は近大にいない。“殿様”扱いなのです。ある教員が『世耕さんが』と言おうとしたら、『世耕先生と呼びなさい』と管理職に訂正されたこともある」(同前)
二階支持を「電話で謝罪」
世耕氏は離党会見などで理事長職について「政治活動とは関係ない」と公言してその立場に留まってきた。 だが、実際にはどうなのか。そもそも、近大卒業式に呼んだ安倍氏の画像を出馬表明に使うこと自体、「関係ない」という言葉と矛盾している。 さらに筆者は和歌山での選挙の実態を調査した。 先の総選挙で「紀州戦争」と注目されたのが和歌山2区だ。自民党からは元幹事長・二階俊博氏の三男・伸康氏の出馬が決まっていたが、世耕氏はそこに強行出馬。“保守分裂”の末、世耕氏が約10万票を獲って圧勝した。 伸康氏に比例復活も許さない完勝を支えたのが、近大の“集票力”だった。 「今回の選挙、世耕さん出るからよろしく頼みます!」 10月中旬、和歌山2区に住む近大OBのもとには次々とこのような電話がかかってきた。 「電話をかけてきたのは校友会のメンバーです」 そう語るのは近大OBのA氏である。校友会とは近大卒業生で組織される「近畿大学校友会」のことだ。公式ホームページによると、校友会の名誉会長は世耕弘成氏、卒業生総数は58万7054人、本部は近大東大阪キャンパス内に位置する。 一族にとって近大OBが選挙で絶大な力となることは、世耕氏自身が自著『プロフェッショナル広報戦略』で明かしている。 〈伯父の選挙は近畿大学OBが母体(中略)近大OBが動かなければ選挙に勝つことはできない〉 まさに世耕一族にとって“集票マシーン”であり続けてきたことになる。