【野球部訪問】第1回夏の優勝校・鳥羽(京都)は“古豪”なんかじゃない!「つねにアップデートする野球」で甲子園を狙う
勝ちに飢えた集団へ
そんな鳥羽の今の戦力を見てみよう。今年は昨年から主軸を担っている主将の川合 尚吾(3年)に加え、左の大西 航平(3年)、坂元 大悟(3年)、右の野口 翔生(3年)、谷脇 蔵太(3年)と計算できる投手が4枚いる。タレントはそろっているものの、昨夏・秋と結果は出なかった。ケガが相次いだのである。大西・坂元が故障し、川合もランナーと交錯して指を折った。遊撃手・馬越 達基(3年)も肩を傷めてしまったのだ。 「本当に旧チームから経験のある選手がいない。軸にしたい選手がいない中で夏の暑さ。疲弊して練習試合もプラン通り行かなかった」と松下監督は振り返る。 状況が変わってきたのは10月末ぐらいから。1人また1人と主軸が戻ってきた。 「主軸が戻ってきて、それからの1ヶ月は、チームが見違えるように、 良くなっていった」(松下監督) キャプテンの川合はこう話す。 「秋の大会、自分は1回戦でケガしてしまって、2回戦は出られず、チームに悪い影響を与えてしまいました。その自分が復帰した時に、チーム全体が、温かく迎え入れてくれる感じあって…。その時から、チーム全員が『甲子園で勝つ』という目標に向かって、まなざしが変わったと思います。」 松下監督の目にこの状況は少し違って映っていた。 「じつは川合の力が大きいんです。キャプテンの『何もできなかった』という悔しさや、『このチームをなんとか本当によくしていきたい』、という強い思いがチームに伝わりました。 川合が作り出す良い雰囲気の中で、大西や坂元が復帰。チームが一体感を持ってすごく良くなっています」 いま、第1回優勝校は上り調子だ。 「川合、坂元も大西も不完全燃焼ですごい悔しい思いをしています。本気で勝ちたいと思っています。例年になく今年のオフは手応えを感じてるんですよ。『あと30分、課題練習(自主練習)する時間をください』とか選手から言ってくる。本当に『もっとやりたい』と思って練習をやってる。勝利を欲してるんやと思います」(松下監督) チームの目標はひとつ。それは「甲子園で勝つ」ことだ。 「自分たちは、本気で甲子園に勝つこと目指しています」(川合) 「同じ方向を見て、みんなで頑張っていこうって、いつも声かけをしてやっています」(坂元) 勝ちに飢えた古豪の逆襲に期待したい。