2023年ABEMAツアーの賞金王の生源寺龍憲にインタビュー! “成長を止めない” ために日々考えていることとは?
「飛距離と賞金に一番相関があるんです」
「もともとショットは好きでした。真っすぐ打っていく自信もあった。だから飛距離を伸ばすことで、セカンドを短い番手で打てるようになり、グリーンもキャッチしやすくなる。ピンに近い場所にも乗せられるようになったんです」。
このオフは3週間の合宿で、筋持久力などをテーマにラウンドはせずトレーニング中心のメニューをこなした。こうして自分を高めていく。 今年の国内開幕戦の東建ホームメイトカップではいきなり2位に入った。 手ごたえを聞くと、「僕にとっては開幕戦という感じではなかった。年明けからすでに試合に出ていたのでスムーズに入れました。アジアンツアーのタフさに慣れていたので。でも、今年の目標の1つが早めにシード権を獲得してアジアに行くことだったので、そこはクリアできたかな」 生源寺は年明け早々のアジアンツアーのファイナルQTで2位に入った。これもプラン通りだ。 「一昨年も受けようと思っていたんですけど、体的にも金銭的にも準備ができていなくて。でも昨年は、絶対に受けると決めていました。それを頭のなかに置きながらシーズンを戦っていた。世界でプレーしたかったし、より高いステージ、レベルで、自分のゴルフがどこまで通用するんだろうと」。 実際アジアでは、グリーンの違いなどでパターのウェイトを替えて調整することや、アジャストする能力が必要だと感じたという。プランから外れたときでも冷静に考え、対処できるようになった。 「新しい環境では、最初はやり方がわからないので自分の持っている引き出しをパーッと開けていくんですけど、今年アジアンツアーに参戦して、引き出しがない状況に遭遇することがあった。でもそこは考えてやるしかないのかなって。本当にゴルファーとして成長できている部分なんだと思います」。 生源寺の根底には、強いメンタルがあるようにも思える。 「僕は負けたくない、それだけです。競い合ったら相手をぶっ倒してやろうという感じは常にあるんです」。 クラブ選びも同じだ。兵庫県市川町の藤本技工製のウェッジとアイアンを使用している。こだわりは強くヘッドを軽くすることでスピードを上げスピン量を増やしている。昔からクラブが好きだった。 「僕、そもそも標準のクラブが使えなくて。背も低いですし、自分に合わせたいところが最初からあって、自分の使いやすいクラブを追い求めた。道具を上手く使った人が勝つスポーツだと思っているので。そこはゴルフをやめるまでそのときのベストを求めます」。 しかしウッド系はグリーンを狙うクラブではないので、自分の思ったように飛ぶ、数値がよいものを選ぶという。 「ヘッド形状は大きくてつかまりやすいクラブが好き。ハンドアクションが少なくて済む。今のクラブの性能を生かしたい」。 こだわりと合理性のバランスが絶妙なのである。 「もちろんまだまだ磨いていかなければいけないこともあります。ショートゲームはずっと課題ですし、飛距離ももっとほしい」。 自分を高い位置に置き、そこに自分を引き上げる。決してビッグマウスに聞こえないのが、生源寺の実力なのだろう。
週刊ゴルフダイジェスト