ホッキョクグマに大接近! カナダの保護施設「コクラン・ポーラーベア・ハビタット」で人生初の体験を
日本にも犬や猫の保護施設は多くありますが、カナダにはホッキョクグマの保護施設があります。カナダ・オンタリオ州北部のコクランにある「コクラン・ポーラーベア・ハビタット」は、野生では生きていけないホッキョクグマのリハビリとケアに特化した施設。現在3頭のホッキョクグマが、のびのびと暮らしています。
人間からケアを受けるクマたちが住む
コクラン・ポーラーベア・ハビタットは、野生のホッキョクグマが生息する最南端からわずか 250 km南に位置。24エーカー(東京ドーム約2個分)の広大な敷地が保護区となっており、現在3頭のホッキョクグマが暮らしている。彼らはいつでも好きなときに敷地内を歩き回り、互いにコミュニケーションを取り、探索を楽しんでいる。だから彼らがいつどこにいるのか、誰にもわからないという。訪問者は散策しながら、彼らに会えるのを待つ。ホッキョクグマがもっとも活動的になるのは、秋から冬にかけての午前中。今回訪れたのは、秋が始まる10月初旬の朝一番。さて、ホッキョクグマたちに会えるのか!?
現在ここで暮らす3頭はいずれもオス。14歳のガヌクは、カナダ・ケベック州の動物園生まれ。その後、水族館に移され、2012年にここの住人となった。ヘンリーは、はるばるオーストラリアのゴールドコーストから来た10歳の男の子。2歳のときに母親が育児放棄の徴候を見せたため、2015年に連れてこられた。ヘンリーはオーストラリアで30年ぶりに生まれたシロクマだ。いまは成長期で食欲旺盛、プール遊びが大好き。イヌクシュクはシニアに近づいている20歳。彼はオンタリオ州の最北地近くで、生後2ヵ月のときに母親が猟師に射殺され、孤児として捕獲された。その後トロント動物園で2年を過ごし、2012年から現在までのほとんどをここで生活している。ガヌクの父親でもある。
展示室では、野生のクマについての生態系や気候変動、温暖化による生息域の減少、ホッキョクグマを助けるために何ができるかについての情報を紹介している。近年、北極の平均気温は3℃上昇し、海氷は過去30年間で20%減少しているそうだ。ホッキョクグマが狩りをする際に足場にする氷が減ってしまうと、十分にエサを獲ることができずにやせてしまう。海を覆う氷が溶ける時期が1週間早まると、体重は10kgも減り健康状態が悪くなることが確認されている。50年前と比べて、ここコクランの北に広がるハドソン湾の氷は、溶ける時期が2週間半早くなり、野生のホッキョクグマの体重は平均で25kg減少しているという。まさに、生存自体が脅かされているのだ。