車名は体を表さず? レクサス「LBX モリゾウ RR」は別次元のいいクルマだ(小沢コージ/自動車ジャーナリスト)
ボディ全体がほぼGRヤリス
さらに、走り出すと驚くのだ。ノーマルのLBXとは別次元の高剛性感に、それでいて上質で密度の濃いステアリングフィールとガチッとしたレーシングカー顔負けの高剛性ブレーキ。すべてが上質なのだけれど、根本のフィールがノーマルと全然違う。 で、調べるとすぐ分かるのだが、ボディ骨格はLBXの改良版というより、公道ラリー車とも言うべきトヨタGRヤリス譲り。フロア前半分にヤリス、後ろ半分にカローラのパーツを使ったモノで、アッパーボディもLBXをベースに、スポット溶接箇所を469点も増やし、構造用接着剤使用量も12.8m延長。 駆動システムもほぼレース用のごときGR-FOUTなる専用電子制御クラッチを使った4WDで、ギアボックスもGRヤリス用の8ATや6MTを、モリゾウRR用に上質カスタムしたもの。 パワートレインどころかボディ全体がほぼGRヤリスで、このまま半分モータースポーツに使ってもおかしくないできなのだ。
全く新しいレクサスコンパクト
650万~720万円という車両価格もベースのLBXより200万円高く、フルでイジってないと説明がつかない。 つまり、LBX モリゾウ RRは、LBXのカスタムというより、GRヤリスをベースに作られた全く新しいレクサスコンパクト。それも速くてスパルタンでなく、速くて上質でジェントリー。言わばBMWのMモデルや、BMWベースのアルピナ車のような存在なのだ。 既存の国産最速コンパクトの範疇で語れるクルマではない。個人的には“RR”など紛らわしい記号は付けずに、「レクサス モリゾウ」とか「LBX スーパーラクジュアリー」などにして欲しかったと思う。 とはいえ、クルマのデキは大変いいのだ、高くて手が届かないだけで。とにかくかつてない、お金持ちのためのリッチで激速なレクサスコンパクトなのですよ。 (小沢コージ/自動車ジャーナリスト)