同意なしの強制不妊手術「40年以上知らなかった」 戦後最大の人権侵害『旧優生保護法』 国を提訴した夫婦が最高裁で初弁論
戦後最大の人権侵害と言われる「旧優生保護法」。この法律のもと、強制的に不妊手術をされたとして国に損害賠償を求める夫婦が、5月29日、最高裁判所で自らの経験、苦しみを訴えた。 同意なしの強制不妊手術「40年以上知らなかった」 『旧優生保護法』 国を提訴した夫婦が最高裁で初弁論
■帝王切開の翌日に死亡したわが子 死因は教えてもらえず
大阪府に住む野村さん(仮名)夫婦。耳が聞こえない2人は、50年以上、2人きりで暮らしてきた。 1970年に結婚。約3年後、待望の第一子を妊娠した。妊娠9カ月の時、病院から赤ちゃんに異常があると言われ、急きょ帝王切開で出産することに。しかしその翌日、子どもは亡くなった。わずか1日の命だった。 野村花子さん(仮名・70代):この日です。この日に亡くなりました。 野村太朗さん(仮名・80代):生まれた時に手足を動かしているのは見ました。(翌日)朝早く6時、7時くらいに『亡くなった』という知らせが来て、会社に行かずに慌てて妻の方に行きました。亡くなった赤ちゃんを抱いたんですけど、すごい重かったです。ずっと抱え続けるのも大変なぐらい重かったです。 野村花子さん(仮名・70代):帝王切開したから入院していたんですけど、出産後3~4日たってから主人から聞かされて、泣き明かしました。 わが子はなぜ亡くなったのか。家族も、医者も、誰も教えてくれず、今も分からないままだ。 野村太朗さん(仮名・80代):なんで亡くなったのかも分からない。聞いても答えてくれない。私を相手していないようで、スーッとあっちに行っちゃうんですよ、先生が。聞こえないから言っても無駄だろうと思って、誰も何も説明してくれなかったのかなとも思います。 野村花子さん(仮名・70代)女の子だったんですよ。きっとかわいい女の子に育ったやろうなと思います。本当に残念です。 野村太朗さん(仮名・80代):私そっくりでした、顔が。くせ毛も私そっくりで。だけど妻は赤ちゃんを見てないんですよ。そのことが悔しかったみたいでね。 悲劇は、それだけではなかった。