”地面師”が放った一言に戦慄…「世田谷5億円詐取事件」の決定打となった不動産詐欺の「魔法の言葉」
不動産詐欺の常套句
地面師集団に限らず、詐欺師が相手を騙すときには、取引を急がせる傾向がある。彼らにとっては、なによりどさくさに紛れて取引を進めるスピードが大事なのだ。実際、世田谷事件でも、津波に5億円の取引話が持ち込まれたのが15年4月半ばで、津波ははじめそこから2週間後の月末取引を要求された。 「他にも競争相手がいるので、グズグズしていると取引をさらわれてしまうよ」 北田の手下である松田はそう言って津波に危機感を植え付け、買い取りを急がせた。津波はさすがに4月中の契約は無理だと断ったが、そうそう先延ばしにすることもできない。そして5月に入り、具体的な取引の交渉が始まった。 不動産取引のプロである津波は、むろん持ち主の存在を確認するため、仲介者である東亜エージェンシーに、西方本人との面会や直接交渉を頼んだ。通常の地面師事件では、犯行グループがここでなりすましを用意するのだが、このケースでは本物が立ち会ったので、疑いの余地がない。津波は彼らの取引をなおのこと信じ込んだ。 『地主が突然「その銀行は家から遠いので困る」と取引場所を変更…「世田谷5億円詐取事件」の奇妙な指示に隠された“地面師”の策略』へ続く
森 功(ジャーナリスト)
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