24年間でわずか8人の“希少価値” 即戦力投手の「成功基準」をクリアした顔ぶれ
パ・リーグで1年目から2桁勝利を達成した投手はわずか8人
即戦力と目される先発投手にとって、「シーズン2桁勝利」が成功の基準とされることは少なくない。プロ1年目から2桁勝利を記録したパ・リーグの新人投手は、過去においてどれだけ存在したのだろうか。 【動画】「マジで国宝級」仙台でのミニスカ姿の“恥じらい”始球式 人気沸騰で300万回再生 パ・リーグでルーキーイヤーに2桁勝利を達成した投手は、2000年以降の24年間においてわずか8人しかいない。さらに、2010年以降に限定するとその数はさらに減少し、楽天・則本昂大投手、ロッテ・石川歩投手、日本ハム・伊藤大海投手の3人のみとなる。 投手分業が進んだことによって、先発投手に勝ち星がつくケースは以前よりも少なくなっている。そうした投手にとっての環境の変化を差し引いても、アマチュアからプロに入っていきなり先発として活躍することの難しさが浮き彫りとなっている。 防御率に目を向けると、防御率4点台以上の投手は一人もおらず、楽天・田中将大投手を除く7名の防御率は3点台前半以下だった。勝ち星がつくか否かは打線との巡り合わせによる部分が大きくはなるものの、1年目から2桁勝利を挙げるためには、一定以上の安定感が不可欠であることがうかがえる。 また、ロッテ、阪神、DeNAなどで活躍した久保康友氏以外の7名はいずれも規定投球回に到達しており、そのうち5名は160イニング以上を消化していた。長いイニングを投げればそれだけ援護が得られる機会も増えるだけに、1年目から多くのイニングを投げられるかどうかも、2桁勝利を記録するためには重要な指針の一つと考えられる。
ルーキーイヤーから先発として活躍した投手は他にも存在したが……
ただ、プロ1年目から先発として活躍を見せた投手は、上記の8名以外にも少なからず存在していた。直近5年間における例を紹介すると、2021年に楽天の早川隆久投手が137.2イニングを投げて防御率3.86、K/BB4.23と優れた投球内容を示し、2桁勝利まであと一歩に迫る9勝を記録した。 また、西武の松本航投手も2019年に防御率4.54ながら7勝を挙げ、同年のリーグ優勝に貢献。さらに、2022年には同じく西武の隅田知一郎投手が、1勝10敗と勝ち星こそ伸び悩んだものの防御率3.75と奮闘。翌2023年は、楽天の荘司康誠投手が5勝を挙げ、109.2イニングを投げて防御率3.36と安定した投球を見せた。 以上のように、ルーキーイヤーから先発の一角に加わり、一定の投球内容を示した投手は少なくない。その一方で、早川のように優れたピッチングを見せたにもかかわらず、2桁勝利には手が届かなかった投手が多いのも確かだ。2桁勝利という成績が持つハードルの高さは、こうした近年の例にも示されているといえよう。