【NHK朝ドラ『虎に翼』】「結婚だけが幸せじゃない」のその先は?
こんなフェミ色強い朝ドラ見たことない!今回は現在放送中の朝ドラ『虎に翼』の分析、後編をお届けします。 NHK朝ドラ『虎に翼』が描く「コミカルでもド直球なフェミニズム」
「結婚だけが幸せじゃない」のその先は?
ストレートな描写でこの作品が描こうとしているものは何かというと、それは「結婚だけが幸せじゃない」の“その先”ではないかと思うのだ。『虎に翼』が、寅子を通して初回から一貫して掲げているテーマは、“女性の幸せって?”というシンプルでオーソドックスな疑問だ。今や社会には、結婚だけが幸せの形ではないという価値観はかなり浸透してきているし、実際に結婚を選ばないと決める女性たちも増えている。しかし、ならば何が自分にとっての幸せなのか?となると、寅子同様、「それがまだ何か分からないけれど……」という人が多いのではないだろうか。 よく、「今の時代は選択肢が増えたことでかえって生き辛くなっている」という言葉を耳にする。結婚しても良し、しなくても良し、仕事に邁進しても良し、しなくても良し、と幸せの形が人それぞれとなっている今、自分が「これだ!」と思えるものを見つけるのは想像以上に難しい。見つけたとしても、そこはまだまださまざまな不平等が根強く残っている日本社会。その選択を貫くことは、寅子の母が言う「地獄」ほどではなくても、相当にしんどいものだったりする。その結果、「やっぱり女性の幸せって結婚して家庭に入ることなのかも」という結論に回帰する人も……。
そう、私たちはきっと今もって、「結婚だけが女の幸せじゃない」の先にあるものは分かっていないままなのだと思う。かつてよりは少し多い自由と選択肢を得ただけで、実のところは寅子たちが抱いていたのと同じモヤモヤを、ずっと抱き続けているのではないだろうか。 一見、ひねりがなさ過ぎて口にするのが恥ずかしいと感じてしまいそうな、「女性の幸せって?」「私の幸せって?」というこの疑問。新時代のフェミ朝ドラが始まった今だからこそ、今一度、寅子たちとともに真っすぐに自分に問い直してみるのも良いのではないだろうか。寅子の決めゼリフ「はて?」とつぶやきながら……。 Edited by 渕 祐貴
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